高齢社の創業者が講演、「高齢者は宝です」

高齢化社会を迎えている中、「高齢者に働く場所と生きがいを!」をテーマにした講演会が2日、新潟大学五十嵐キャンパスで開催された。

 

講師は、高齢者雇用の積極的な取り組みで注目を集めている(株)高齢社会長(創業者)の上田研二氏(=写真)。「定年後に何もしないで、やや邪魔者扱いされていた高齢者に生きがいを与えるため」(上田氏)に、2000年に同社を設立した。

 

■500人の高齢者の雇用を確保

 

同社への入社資格は、ずばり「60歳以上、75歳未満」(同)。現在、500人もの“高齢者”が派遣社員として登録されている。

 

派遣先の職種は様々で、上田氏の出身である東京ガス(引っ越しに伴うガス閉栓作業員)、水泳インストラクター、水素ガスの取扱者など100種類にもなる。直近の年間売上高は4億9260万円。

 

 高齢者の派遣ビジネス――。一見すると、なかなか成功しそうにないビジネスモデルだが、上田氏は、「やろうとすることが正しれば、必ずやり方はある。できないとしたら、それは知恵と流す汗が足りないからです」と言い切っていた。

 

 では成功の要因は何か。上田氏は、同社の派遣社員の特徴を2点語っていたが、そこに成功に秘訣が詰まっている。

 

 1つ目は、同社の派遣社員は土日も関係なく働くこと。

 

「定年退職した高齢者にとって、平日も土日も関係ない。このため、通常嫌がられる土日でも普通に出社します。しかも、休日出勤という感覚はないため割増料金もなく、受け入れ企業からは感謝されるのです」(同)。

 

 2つ目は、即戦力であること。

 

さきほどの水素ガスを扱うには、高圧ガスの免許が必要になるのだが、高齢社の社員には、こうした資格保有者が多い。このため、若手と異なり、「1から教育する必要がなく、受け入れ企業から感謝されるのです」(同)。

 

 こうした特徴が同社の強さとなっているのだ。

 

 加えて、運動障害を引き起こす難病「パーキンソン病」(=後述)を患いながらも、自ら先頭に立って、派遣受け入れ企業の開拓に奔走してきた。

 

今後10間で労働力人口は500万人減ります。れを補うのは高齢者、女性、外国人、ロボット」(同)と語っていた。

 

 ちなみに、社員の時給は1000円前後に達しているという。また社員は出社日を好きに設定できるし、午後4時過ぎればオフィスでビール飲み放題「病気などもありますし、長期旅行をしたいという(人生の)希望もあるので、出社日を自由に選んでもらっているのです」(同)

 

 さらに、勤務時間は、社会保険の負担が軽くなる週30時間未満に定め、月給は、8~10万円となっている。「1人の仕事を2人で分け合うワークシェアリングの考えです」(同)。そのかわり、経常利益の30%を期末手当などとして社員に還元している。

 

■小学生の時に父親が失業

 

そんな上田氏は1938年生まれ。小学生の時、父親が失業し、「一家の大黒柱が失業する厳しさを身に染みて感じた」(同)という。

 

その後、大学進学をあきらめ、東京ガスに入社。58歳の時、関連会社の社長に命じられた。だが、その会社は、借金12億、累積赤字6億円という有様だった。

 

 だが、収入のない生活の惨めさをわかっている上田氏は、絶対にリストラしないことを社員に宣言した。

 

 さらに1年後――。5年以内に借金、累積赤字をゼロにし、経常利益の20%をボーナスとして還元することを宣言した。そして、その約束を守りながら、同社を再建した。

 

その後は、さきほど記した通り、2000年に高齢社を設立した(なお、この頃にパーキンソン病を発病しているという)。

 

当時は、世間からやや邪魔者扱いされていた高齢者。かつて上田氏は、自社を「産業廃棄物再生機構」と称して、苦言を呈されたこともあったという。しかし、「廃棄物でも宝に変わるのです」(同)と断言していた。

 

(高齢社概要)

設立:2000年

所在地:東京都千代田区 

http://www.koureisha.co.jp/