渋谷建設、わさび栽培プラントで儲かる農業に挑戦

 渋谷建設が設立した農業生産法人「有限会社SKフロンティア 翠工房」の省エネわさび栽培プラントに注目が集まっている。

 

 わさびといえば、栽培するというよりも山に行って採ってくるという印象。当然、ハウス栽培の前例なかった。また同地では積雪があり、冬期間はわさびを栽培することはできなかった。そうしたなか、同社では平成16年、湧水を利用して、わさびをハウス栽培する実験棟を建設し、ハウス栽培の実用化に向けた課題の洗い出しを始めた。

 

すると、ハウス内の気温は大きな問題ではなく、水温さえ管理できれば問題ないということが分かった。その結果をもとに平成20年、消雪パイプ工事のノウハウを生かし、(水利権のない)地下水(同地の水は全国的にも珍しい硬水)をくみ上げて、ハウス内で、わざび(最高品種の真妻)を栽培する「中島プラント」を完成させた。

 

「配管なども工夫したこともあり、水温一年を通して14度に保たれています」(渋谷社長)。これにより、初めて、年間を通して、わさびの栽培が可能になったのだ。またプラントには、省エネ、低コストのための工夫を随所に施した。たとえば、防虫ネットでハウスを囲んだ。「わさびは草取り作業が要らないのですが、防虫ネットにより虫が入ってこないので、農薬をまく必要はありません」(同)。こうして人件費を大幅に抑制した。

 

ハウスとハウスの間に段差を設け、水がハウス間を自動的に流れる工夫も取り入れた。「1棟分の水量で、何棟も栽培できますし、使う電気代も最初のくみ上げの時にしかかりません」(同)

 

この中島プラントに加え、同プラントから車で数分の日本海に程近い場所に、2万平方メートルの土地を借りて、ハウス12棟と加工場1棟を建設し平成26年に完成した。「現在、パートを含め6人体制で年間6万本(うち小さいものや変形したものは加工品向け)を出荷しています。直近の売上高は3000万、最終目標は5000万円です」(同)

 

なお同社では、特許を取得しており、渋谷建設で栽培プラントの外販(またはFC展開)も行っている。「わさびは1年中収穫できます。新潟の農家の皆様に休耕田を活用し栽培して頂きたいですね」(同)

 

一方、各ハウス棟で使った水も再利用している。具体的には、「真昆布うどん」を共同開発したことのある県立海洋高校の実習室をハウス横に設置し、実習を兼ねて共同で、ちょうざめの養殖を行っているのだ。

また北海道大学の縁で、北海道の絶滅危惧種である「イトウ(和名・糸魚)」500匹も育てている。「来年には海洋高校、糸魚川内 水面漁業協同組合とともに人工ふ化に挑戦します」(同)。成功すれば青森に続く、2例目の養殖成功になるそうだ。

 

(弊誌2016年12月10日号より転載)