県内企業に“女性プロジェクト”続々 商品開発に活かされる『女子力』(後編)

 三条市のプレス加工業者、有限会社坂井工業(坂井真和社長・0256―33―2282)には子育て世代のママ社員たちが立ちあげた『ママラボ』というプロダクトブランドがある。

 

 同社はもともとメーカーの二次下請けが100%だったが、2008年のリーマンショックで大きな打撃を受け、回復基調へと立ち直った時期に“次の一手”として自社製品の開発に着手したという。

「もともと女子社員の比率が高い会社だったのですが男の人は作業が連続していて、比較的自由が利くのは女子社員の方だったのでママラボができました。女性社員7人のうち5人が30代の子育て世代です。30代ママのアイデアというのは、本当にポテンシャルが高いのですよ」(ブランドマネジャー・坂井由紀子さん)

 

 目をつけたのは元々同社で製造していたスプレーガンのカップの規格外品。これに塗装を施して脚をつけ『スマホ用無電源スピーカーPODS』が出来上がった。スマホで音楽を聞く際、この中にポンと放り込んでおくだけでスピーカーになってしまうというスグレもの。軽量で電源を必要としないのがいい。

 

 子育て世代の女性達が起こしたイノベーションというのが痛快でもある。女性は結婚して子育てに入れば仕事を離れてしまい、それっきりになるケースが多いのが社会の現実であり問題。実際、一線のキャリアを持ちながら子育てでそれを捨てざるを得ないのは大きな社会損失でもある。

「子育て世代も職場と距離を置かなくて済むような環境ができれば、職場復帰もしやすい」と坂井さんは話す。同社ではこの10月、会社敷地内に小さな子供を連れてこられる子育て応援スペース『ママラボカフェ』をオープンし、地元の子育てママの社会復帰を応援していくという。

  

 女性のプロジェクトが商品開発にかかわるケースは今後も増えるだろう。なにせ「女子力」なる言葉はあるが「男子力」なんて言葉はない。発想力において“男子ならでは”などというのは取るに足らない分量。とうていかなわないのだろう。