越後雪室屋プロジェクト 新連携とブランディングが成功に導いたビジネスモデル

 雪室に食品を貯蔵すると美味しくなる--。

 これは一定の真実でありエヴィデンスも取れている。まず冷蔵庫貯蔵に比べ光と振動がさえぎられることで鮮度が保たれる。

 肉などは雪室で熟成させれば細胞破壊が起こらないためにドリップが出ず、旨みが外に流れない。

 野菜は安定した冷却で適度なストレスを与えることで甘味を蓄える。コーヒー、茶葉などは雑味がなくなり旨味や芳香が強調される。

日本酒は昔から雪中貯蔵が知られているが、これもやはりアルデヒドによるひね香が抑えられる。米やそばは、収穫から6カ月ほど経過しても新米、新そばの風味が持続する。味噌は塩カドがとれてまろやかになる。

 

新潟県内では、様々な食材の雪室貯蔵は行われてきており、40カ所の雪室が現存する。そんななか、2010年に「異業種連携とブランディング」を目指す「越後雪室屋」ブランドのプロジェクトが立ち上がった。

 

 現在、プロジェクトに参加しているのは26社(うち食材は21社)。組織形態は事業協同組合となるが、扱う品目がそれぞれ違うというケースは他に例がない。これが経済産業省も推進する「新連携」の具現だ。

 

 ブランディングの効用は様々な形であらわれる。PR面、広報力、発信力の強さ。このあたりは中小零細企業が1社で出来ることは限られる。また百貨店などはブランドの商品をラインナップで扱いたい意向もあり、一つの商品がバイヤーの目に留まると他の商品も一緒に売り場に並ぶケースが多いのだという。

「足並みが乱れなかったのは、1品目1社のルールにしたことと、メリットが分かりやすかったことだと思います。各種の展示会等に出展したり面倒なことも多いですが、そういうのを厭わない人が集まったのも大きい」と事務局を務めるアドハウスパブリックの関口社長は話す。

 今年度の雪室ブランド商品の売り上げは全体で2億円程度になる見込み。スタートから対前年比140%を毎年計上するという増収ぶり。年商12億円を目標に掲げる。

 

 2015年には越後雪室屋が地位資源を使った新展開が評価され「イノベーションネットアワード農林水産大臣賞」に輝いた。各品目でも「世界に通用する究極のお土産」や「スーパーマーケットトレンド賞」に選ばれたり、世界のコンテストで上位入賞したりと快進撃が続く。

 

人々にとって難物であるはずの豪雪がもたらしたイノベーションがここにある。 

(2016年12月10日号より転載)

県内には40カ所の雪室が現存する