モノづくりの集積地「燕三条」をより元気にする外部人材たち

燕三条駅

世の中を変えるのは「ばか者、若者、よそ者」と昔から言われる。
このうち、“よそ者”はしがらみや先入観がないため変革に向いているのであろう。
そんななか、燕三条地域に県外から多くの人(よそ者)がやってきて、企業と連携したり、地元企業の社長に就いたりして、この地域の経済活性化に一役買っている。

東京の学生とコラボ つばめいと

燕市で活動する公益社団法人「つばめいと」。
ここは、東京やその近郊の大学に通う学生に燕に来てもらい、学生のアイディアを生かして市内企業の新製品や新ビジネスの開発向けて活動している。

7月上旬、東京の早稲田大学で、あるイベントが開かれた。
イベントのテーマは、「Tsubame Night~金属加工の聖地:新潟県燕市を旅する3時間」。
今年1月から3月、「燕市×つばめいと×早稲田大学」の連携事業で同大の学生らが燕市を訪れ、地域が実際に直面している課題についてフィールドワークを実施、課題解決策を練り上げたが、その学生らが、イベントを実施したのだ。

フィールドワークで学生らが提案したのが、新しいビジネスモデル「つばめポンプ」だ。これは製品を作るメーカーと、使う消費者の間に生じる情報など色々な面でのギャップを埋めるために、すべき活動などをまとめたもの。
今回のイベントも、そのつばめポンプの一環。将来の購買層となる学生に製品情報を届け、意見を聞いて製品開発に生かすためのトライアルの場となった。

7月に早稲田大学で開かれたイベント(つばめいと提供)

もともとは、燕に就職してくれる若者を増やそうという目的でスタートしたつばめいと。ただ、「それでは、いつ願いが叶うか長い道のりになってしまう。学生の知恵を借りれば素早く効果的に動けることに気が付いてきた」と新越ワークス社長も務める山後春信代表理事は話す。
千葉大学出身の学生が考案した「軽トラック荷台で物販をしやすくするための金属製ラック」が、高評価を得るなど結果も出しつつある。

イタリア人シェフをアンバサダーに サントク

株式会社三条特殊鋳工所(三条市、サントク)は、「UNILLOY(ユニロイ)」ブランドのホーロー鍋でも知られている。
そんなサントクのブランドアンバサダーに、イタリア人シェフ・マリオ・ガンバ氏が就任した。

ガンバ氏はもともと自身が運営するミシュラン星付きレストラン「aquarelles(ドイツ・ミュンヘン)」でUNILLOYの鍋やフライパンを愛用していた。
その性能にほれ込み、欧州市場向けに燕三条産調理器具の開発やプロデュースをするSATOMI SUZUKI TOKYO(東京都港区)の鈴木里美社長が仲を取り持った。
7月11日、サントクを訪れたガンバ氏は、「UNILLOYを作る職人にはとにかく強いスピリットを感じる」と印象を述べた。

UNILLOYの製品は、「100年先も使える製品。それを見据えた価格設定をしてはどうか」とガンバ氏は内山社長に提案、内山社長も「ぜひ参考にさせてほしい」と返答。
現在、ガンバ氏とコラボレーションした製品の開発を進めている。
年内にも発売予定だ。

サントクの工場を見学したマリオ・ガンバ氏

地域外から社長が就任 悠心

すでに地域で活動している企業の中にも、地域外から来た人が社長を務めている会社がある。納豆についている「たれの小袋」などを作る液体包装機などを手掛ける株式会社悠心(三条市)の二瀬克規社長がそうだ。
二瀬社長はかつて大手メーカーで役員まで務めた人物で、IR などの業務に従事していた。「しかし、私は技術者出身。やはり技術者として全うしたい」と決意し退社。
都内で実施していた三条地区のビジネスマッチングイベントに参加して、「製品開発やモノづくりがゼロからできる」三条のポテンシャルに感銘を受け、悠心への参画を決めた。
二瀬社長は持ち前の技術者魂を発揮、キャップを使わずに醤油を最後の一滴まで鮮度を保つ袋型容器(PID)や、その包装機を開発したことが、第36回発明大賞の日刊工業新聞社賞に選ばれた。

悠心と二瀬社長をつないだ、三条信用金庫の佐川正博氏(当時。現・新潟県地域活性化雇用創造プロジェクト事業統括者)は、「どんどんと外部人材を入れることが、さらなる活性化につながる。悠心はその好例の一つだ」と話していた。

悠心が開発した新システムは、小袋の密封された部分を画像検査する

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