「改造人事の台本は誰の作か」(元時事通信記者、元衆院議員 五十嵐文彦)


岸田首相が内閣改造を断行した。9月を突然大幅に繰り上げた。旧統一教会と政治家の関係が問題化し、政権の致命傷になりかねないと判断、早期の火消しに動いたのだ。

人事のポイントは、統一教会関連団体との関係が問題視された閣僚を少なくとも閣外に移すこと。俎上に上った政治家は安倍派が多数だったので、安倍派の了解が得られる内容でなければならなかった。その安倍派は暫定の集団指導体制しか取れず、現役議員のまとめ役は不在。岸田氏が相談出来たのは森喜朗元首相しかなかったはずだ。森氏は言わば「治天の君」(上皇の中の最年長者)だ。安倍派領袖経験者の最年長で、存命の自民党総理経験者の最年長者だ。一強派閥安倍派をまとめ、第二派閥の長・麻生副総裁も押さえられる。

党5役と閣僚の顔ぶれはあきれるほど軒並みの森人脈だ。小派閥谷垣Gから大抜擢された遠藤利明総務会長は、東京五輪組織委員会会長代理などで森氏を補佐するなど昔からの弟分。萩生田政調会長と高木国対委員長は安倍派。実は、岸田氏と茂木幹事長は、第一次森内閣の政務次官として政府高官デビューを果たしている。

閣僚をみると、①森内閣政務次官=林外相②安倍派=松野官房長官、西村康稔経産相、西村明宏環境相、岡田行革担当相③森氏友人の係累=河野デジタル相、浜田防衛相、加藤厚労相、谷国家公安委員長、永岡文相④東京五輪の仕事仲間=鈴木財務相⑤愛弟子=高市経済安全保障担当相―と森氏人脈は12人に及ぶ。文教族や早稲田大学後輩、北陸出身など二重、三重の近さを持つ閣僚も少なくない。単なる偶然とは言い難いラインナップだ。

新内閣が新鮮味に欠けるのも、なお新たな統一教会接触履歴が発覚するのも不思議ではないわけだ。岸田首相の思惑に反し、この問題が内閣改造で沈静化する可能性は小さいかもしれない。

 

五十嵐文彦

1948年11月生まれ。東京大学文学部卒。時事通信社政治部記者を経て衆議院議員4期。新党さきがけ政調会長代理、民主党次の内閣総務相・金融担当相、衆議院災害特別委員長、財務副大臣2期、衆議院財務金融委員長などを歴任。現在はフリージャーナリスト、ニューズ・オプエド解説委員、人権財団理事、武蔵野大学政治経済研究所客員研究員


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