「宗教法人の税優遇問題が浮上する」(元時事通信記者、元衆院議員 五十嵐文彦)


旧統一教会とその関連団体の霊感商法や寄付強制問題は、一般国民と無関係ではない。宗教法人を含む公益法人は、①本来の公益事業は非課税②収益事業の収益は20%まで本来事業への寄付と見なして控除できる「みなし寄付金」制度③残り80%も軽減税率適用―という税優遇を受ける。国の税収が減るというだけではない。公益法人は、民間企業と同じ物品販売、サービス提供、賃貸などの事業もやれるので、割安価格で仕事をし、民間企業に勝つことができる。寺社、教会が駐車場や飲食店を経営すれば、近所の同業民間企業は太刀打ちできない。

宗教法人税優遇の理、屈は「信教の自由の保障」「心に税金はかけられない」というものだが、逆手にとって悪用する不良法人も少なくない。参観記念の土産物は必ずしも信仰と関わるものでなく、定価が決まっているのであれば、お布施行為による出費と言い難い。戒名料、宿坊宿泊料なども本来は価格請求するのはおかしい。いわんや、統一教会の押し付け販売や高額寄付強制は、税法上の脱法行為と解するべきだ。

宗教法人税制強化のネックは、いわゆる村の鎮守の社問題である。村の氏子が細々と守っている小さな神社に課税すれば、鎮守の森も社殿も消えて無くなりかねない。

実は、私は自社さ政権時の宗教法人問題プロジェクトチーム座長、与党税調責任座長として、公益法人課税を論議し、提案したことがある。一定規模以上の大型生協(消費者生活協同組合)や大宗教法人を対象に、軽減税率やみなし寄付金制度を縮減しようという内容だったが、思うように進まなかった。各種公益法人間で規模の横ぐしを刺す基準が難しかったためだ。

しかし、十分な記帳が行われていない法人、売り上げや寄付金の納付を現金に限ろうとする統一教会のような法人を放置すれば、不正、不平等は正せない。認証制度の在り方と併せて国民的議論をすべきだろう。

五十嵐文彦

1948年11月生まれ。東京大学文学部卒。時事通信社政治部記者を経て衆議院議員4期。新党さきがけ政調会長代理、民主党次の内閣総務相・金融担当相、衆議院災害特別委員長、財務副大臣2期、衆議院財務金融委員長などを歴任。現在はフリージャーナリスト、ニューズ・オプエド解説委員、人権財団理事、武蔵野大学政治経済研究所客員研究員


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