「カルトと保守派はなぜ近寄るのか」(元時事通信記者、元衆院議員 五十嵐文彦)


自民党は旧統一教会との密接な関係を国民から疑われている。まともな国会議員は「反社会的団体」のチェックもせずに祝電を送ったり、講演や寄稿、インタビューに応じたりない。国会議員経験者として断言できる。それなのに、自民党のアンケート調査で179人もの関係議員が確認された。うっかり者がそれ程多いはずがない。

議員側から見て、危ないカルト教団に近寄る理由がいくつかある。

第1は、選挙運動員の確保。カルト教団には軍隊的な組織力があり、選挙本番中だけでなく、事前段階から無料で熱心に働いてくれる。信者票は少ないとしても、大きな集票の武器となる。

第2は、派閥のボスや有力者が窓口になっているので、問題になればかばってもらえるという安心感がある。政権派閥や主流派派閥が中心なのもそのせい。

ここで特に取り上げたいのは第3の理由。このようなカルト教団は「自己責任原理主義」と呼ぶべき考え方を持っていて、保守派政治と強い親和性があることだ。信者や勧誘相手に不幸な事が起きると、カルト団は「あなたや家族、先祖の業(ごう)のせい」「信仰心が足りないから」と自己責任論を展開、教団への貢献、献金を求める。教団の指導は常に無謬(むびゅう)という都合の良い考えだ。与党の保守派は、社会に不満が溜まりそうな時「政府や政策のせいにするな。あなたの努力不足に目を向けろ」という考え方を広めてもらえる組織はとても有難いのだ。

組織性、排他性、金銭執着性、政治性の強い団体をカルトと呼び、各国で危険視されている。信教の自由とは実は「個人が信教を強制されない自由」なのに、日本にはどんな宗教団体でも活動を保障、優遇されるべきだという誤解がある。多くの先進国には宗教団体にも租税に関する情報を国税当局に報告させる義務を課している。財務内容が不透明な団体、脱会を容易に認めずに会費や寄付の強制をする団体は認められない。宗教団体にほぼ無条件で税制優遇を認める日本はむしろ例外だ。

カルト的な宗教団体は結構あるのだが、統一教会は「原罪を持つエバの国日本は、アダムの国韓国に貢ぐべきだ」という特殊な教理を持つはとりわけ異常な団体だ。霊感商法の犠牲者は日本に偏っている。こんな団体の広告塔になった保守派議員は戦前に言う「売国的行為」と指弾されないのだろうか。

 

 

五十嵐文彦

1948年11月生まれ。東京大学文学部卒。時事通信社政治部記者を経て衆議院議員4期。新党さきがけ政調会長代理、民主党次の内閣総務相・金融担当相、衆議院災害特別委員長、財務副大臣2期、衆議院財務金融委員長などを歴任。現在はフリージャーナリスト、ニューズ・オプエド解説委員、人権財団理事、武蔵野大学政治経済研究所客員研究員


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