【ブランディングコラム #3】ウェルビーイングに働くための“良いチーム”づくり 後編|関本大輔(株式会社アドハウスパブリック)


こんにちは。株式会社アドハウスパブリック代表の関本大輔と申します。

このコラムでは、昨今注目されている「ウェルビーイング」について、「ブランディング」の観点からビジネスや人材育成に役立つ情報をお届けしています。

前回は“ウェルビーイングに働くためのチームづくり”の前編として、「社内の協力体制を整えたい」「コミュニケーションを円滑にしたい」など、チームに関するさまざまな課題への向き合い方をお伝えしました。

後編となる今回は、実際にアドハウスパブリックが携わった事例をもとに、より良いチームづくりのポイントを深掘りしていきます。

事例としてご紹介するのは、新潟市にある白山神社さま。一見すると“チーム”とは関わりの薄い業界のように感じられるかもしれません。しかし、実はどんな組織にも起こりうる「スタッフ間のコミュニケーション」についてお悩みを抱えていらっしゃいました。

白山神社さまでは、どのようにコミュニケーションの問題を乗り越えたのか。そして、チームはどのように生まれ変わったのか。チームづくりにおけるポイントを整理しながら、詳しく解説していきます。

ご興味がありましたら、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

 

良いチームづくりに向けて取り組むべきことは?

前編では「“良いチーム”をつくるためにやるべきこと」として、以下の3つを掲げました。

①自分の思考・行動の癖や、他者との違いを知る
②社内のベクトルを合わせ、共通言語を見える化
③チームの課題にみんなで向き合い、一丸となって取り組む

これらを実現するためには、どんなことに取り組むべきなのでしょうか。事例をもとに、具体的な施策の内容やチームの変化についてお伝えします。

事例としてご紹介するのは、新潟市中央区にある白山神社さま。古くから新潟の総鎮守として地域に愛されてきた歴史ある神社です。時代とともに移り変わる神社のニーズに合わせて、新たな価値や存在意義を示していくために、アイデアを考え推進できるチームと強固な協力体制を構築していく必要がありました。

チームの土台づくりにおいて、とくに重要な鍵となった2つの施策をご紹介します。

 

施策①コミュニケーション基盤を整えるマネージャー研修

チームづくりに取り組む前の白山神社さまでは、さまざまな原因が複雑に絡み合い、チーム内で意見を言い合えないなどコミュニケーションがスムーズに取れない状況でした。

そこで、チームのコミュニケーション基盤を整えるために、まずはチームをまとめる幹部層を対象とした2日間の研修を実施しました。

これは、自分や仲間の考え方・行動の癖を知り、部下や周りの人との向き合い方、チームの在り方について理解を深めていく研修です。さまざまなワークに取り組みながら「自己基盤の構築」「相手を知るコーチング」「チーム構築リーダー育成」を進めていきました。

コミュニケーション基盤を整えるために大切なことは、お互いの個性や“その人らしさ”を理解し、尊重し合うこと。 人には、それぞれ違った性格や行動の癖があります。自分と他人は違うと認め合うことで信頼関係ができあがり、スムーズなコミュニケーションが実現していきます。

お互いの個性を理解するために、研修で活用したのは「ストレングスファインダー®️」(※)というツールです。(※現在は「クリフトンストレングス®️」に名称変更されています。)

ストレングスファインダーは、アメリカのGallup社が開発した人の性格や強み・弱みを見える化するツール。占いや心理テストのようなものとは異なり、人材開発の調査・研究に基づいて開発された実用的なものです。

自分の強み・弱みが分かると、自分をスムーズに動かす方法が分かるようになります。また、仲間に対しては自分と異なる考え方を容認することで信頼関係が生まれ、お互いの個性を活かした教育や適材適所の配置が可能になります。

つまり、“その人らしさ”を互いに理解し合うことが、チームのコミュニケーション強化や生産性の底上げに繋がっていくのです。

対話や共同作業を通じてお互いの考えや個性を理解し合ったことで、徐々にチームが活性化。思ったことを伝え合い協力し合える良い関係性と、コミュニケーション基盤が整っていきました。

 

施策②チームの指針を生み出すエンゲージメントワークショップ

白山神社さまには、宮司・神主・巫女・事務所など、さまざまな立場で働くスタッフがいます。そのため、仕事に対する想いや目指すべき姿も、立場によってバラバラな状態でした。

企業姿勢を表すCI(コーポレート・アイデンティティ)を構築し、社内浸透を図るために2日間のワークショップを実施。

未来に向けた神社の在り方・指針を明確にしていくために「大事にしていることは何か」「これからどうなっていきたいか」を話し合い、社員一人ひとりのエンゲージメント(企業理念への共感や目標達成意欲)の向上につながる指針・共通言語を作り上げていきました。

まとめた指針は、決定した経緯とともにスタッフ全員に共有。そこでも一人ひとりの意見を伝え合いながら、想いを一つにしていきました。

エンゲージメントワークショップでは、次のようなことをチーム内で話し合い、見える化していきます。

 

■会社の現状と課題の見える化
社員が自社への信頼を深めていくためには、積極的な情報共有が大切です。立場によって把握している情報も異なるため、「会社は今どんな状況なのか」「どんな課題があるのか」など、それぞれが持つ情報を共有し合いましょう。

■会社の歴史と考え方の見える化
企業やリーダーのこれまでの歩みや考え方の蓄積が、現在の企業活動や理念に結びついています。そのため、企業の歴史と現在との繋がりを理解することが、これから大切にすべき価値観の深い理解に繋がっていきます。

■共通言語の見える化
企業の全ての行動指針となり、チームを一丸にする共通言語。自社が持つ強みや魅力・独自のカルチャーを言語化することで、自社の存在価値を高めるとともに企業の考えに賛同する顧客を集めるなど、企業力のすべてを強化する源泉となります。

■業務構造と仕組みの見える化
共通言語が定まったら、より良い業務の仕組みを構築します。まずは業務の流れ・仕組み・手順などを社内でしっかりと理解し、業務効率化に向けて自発的に協力し合えるチーム状態を整えていきましょう。

日々の業務に追われていると、どうしても自分たちの役割や存在意義などは忘れがちになります。しかし、こうして再定義することで向かうべき方向が明確になり、チームのまとまりも強化され、漠然と働くチームではなく共通のベクトルと意思を持ったチームへと生まれ変わっていきます。

ワークショップに取り組んだ結果、白山神社さまでは『奉仕』という共通言語にたどり着くことができました。立場は違えど「神様の信念を伝える場所」として神様に対する気持ち、そして参拝者に対する気持ちは同じであることが分かったのです。この言葉を指針にして、新たな事業計画にもチーム一丸となって走り出すことができました。

 

ウェルビーイングな働き方を目指して

今回は、事例をもとにしたチームづくりの取り組みをご紹介しました。

白山神社さまでは、これらの取り組みを土台としてチームが活性化し、事業を前向きに推進していくコミュニケーション基盤と協力体制が整いました。また、自分たちの存在意義や役割を再定義した共通言語が生まれたことで、スタッフ全員のベクトルも一致。未来に向けた新たな事業にもポジティブに取り組める環境へと変化しました。

スタッフが前向きに業務に取り組むことは、顧客エンゲージメント(商品やサービスを提供する企業と顧客との信頼関係)にも大きく影響します。白山神社さまの場合、参拝者へのスタッフの対応がより良くなることでファンも増え、その後の新しい取り組みも世の中にポジティブに受け止めてもらえるようになるのです。伝統と格式を守りながらも「昔ながらの神社」というポジションだけに留まらない、新たな白山神社さまの魅力と取り組みは、徐々に世の中へと浸透し始めています。

私たちは、1日の3分の1以上の時間を自分以外の誰かと一緒に働いています。その“誰か”を“仲間”と捉えるか、“他人”と捉えるか。それだけで、人生の幸福度は大きく変わると思います。

しかし、その捉え方は、一社員の力だけで変えられるものではありません。まずは、ポジティブに取り組める環境・チームを作り上げること。それは、社員がウェルビーイングに働き続けるために、会社が成すべき大切な役割の一つです。

社員一人ひとりを労働力と見なすのではなく、誰もが個性を持った“人”であり、共に働く大切な“仲間”であると認識すること。そして「こうあるべき」という固定概念に縛られず、その人らしさを互いに尊重し合うことで、チームの一人ひとりが持つ本来の力が最大限に発揮されるようになります。それこそが、今の時代に合ったウェルビーイングな働き方、そして人的資本経営のベースとなるのです。

今回はここまでとなります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

関本 大輔(せきもと だいすけ)

株式会社アドハウスパブリック代表取締役。新潟デザイン専門学校を卒業後、東京の出版社でデザイナーとして勤務。その後、父が設立した会社を継ぐため帰郷し、2013年に代表取締役として就任。

お客さまの本質的な課題解決につながるインナーブランディングと卓越したデザインで、さまざまな企業や事業のブランディングに携わる。過去1,000件以上の実績で、地域・業界を問わず評価されている。

米国ギャラップ社認定ストレングスコーチのほか、越後雪室屋ブランドディレクター・理事、新潟県6次産業化プランナー、新潟市異業種交流研究会協同組合理事長を務める。

 

【関連リンク】
株式会社アドハウスパブリック

【ブランディングコラム #2】ウェルビーイングに働くための“良いチーム”づくり_前編|関本大輔(株式会社アドハウスパブリック)

 


 

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