記者コラム&今週の主なニュース(4月26日〜5月1日)
記者コラム
取材しかありえない
以前仕事をしていた報道機関の先輩記者が病に伏しているという話を聞いたのは4月の話だ。記者人生において、多くの時間を一緒に過ごした人だが、今思うと書き手として最も影響を受けたのがこの先輩だったかもしれない。最後に連絡をいただいたのは今年の1月だった。
記事作成にあたっては、足と人脈をフル稼働して綿密な取材を積み重ねる。取材に出なければ人脈も構築できないし、人からも信用されない。多くの取材からは多角的な視点も生まれる。平板だった記事が、取材によって立体感をもつ。駆け出しだった記者は多くを学ばせてもらい「いつか先輩のような記事を書けるようになりたい」と目標にもした。是非また現場復帰されて、読者を驚かせるようなスクープを期待したい。
記者という仕事は近年大きく様変わりした。1990年代後半にインターネットが普及し、仕事の仕方ががらりと変わった。コロナ禍でリモートワークが定着してまた変わった。昨今は生成AIの存在が記者の仕事そのものを脅かすようになった。
一方で記者たちは昔に比べて、会社や記者クラブから外に出ることが少なくなった。昔は「記者なんて会社にいても商売にならない」と言われていたが、ネットニュースなどでは普通に「こたつ記事」が是とされている。記者の仕事が「コスパ」や「タイパ」の概念で語られる時代になった。
しかし前述したように、綿密な取材をしなければ、どうしても記事に対する視点は画一的で平板なものになる。普段から取材に出て、多くの人に会わなければ情報収集さえままならない。多くのメディアが信頼されなくなったのは、頭を柔軟にしてゼロベースで取材をする機会が減ったからではないか。
にいけい編集部はこれからも、丁寧な取材を大事にしていく。取材対象とのコミュニケーションを億劫がらずに、多角的、立体的な記事を目指したい。
(編集部 伊藤 直樹)
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