【コラム第7回】会社の設立~株式会社VS合同会社~ 勝島一真(税理士・行政書士)

ビジネスカツシマの勝島一真です。私たちビジネスカツシマグループでは、開業支援業務、税理士業務、経営・財務会計コンサルティング業務、行政書士業務、事業承継・M&A業務、それぞれの分野を特化させて専門性を磨き経営のお役にたてるビジネストータルサポートを目指しております。

第7回目となる今回のテーマは「会社の設立」についてです。会社を設立しようと考えるタイミングとしては、たとえば

・今まで個人事業主として事業をおこなっていたものを法人化させる
・サラリーマンとして会社に勤めていた方が事業をおこし会社を設立する

このようにケースはさまざまです。

会社を設立しようと決心したときに検討しなければならないのが、会社の形態です。会社の形態とは、「株式会社」にしたほうがよいのか、それとも「合同会社」にしたほうがよいのかなどです。株式会社や合同会社以外にも、少し特殊な「合名会社」「合資会社」「NPO法人」「一般社団法人」など色々な会社の形態はありますが、今回のコラムでは一般的な会社設立形態として圧倒的に多い2形態である「株式会社」「合同会社」に話を絞っていきたいと思います。

合同会社ってなに?

株式会社はよく聞くけど、合同会社ってなに? たしか有限会社という形態もあったよね? などとよく聞かれることがあります。

2006年以前まで有限会社は設立できましたが2006年以降新規で有限会社は設立できません。その代わり新たに合同会社という形態が誕生しました。

2006年以前は「株式会社」にしようか「有限会社」にしようかと検討していたものが今は「株式会社」にしようか「合同会社」にしようかと検討されています。株式会社にしても合同会社にしても法人であり信用力は同じです。

たとえば金融機関からの融資などにしても合同会社であるからといって株式会社と比較して融資のハードルが上がるや下がるはほとんどありません。同じ信用の中で判断されます。

~株式会社と合同会社を比較してみる~

株式会社と合同会社をそれぞれの検討分野でザックリではありますが比較してみると

【社会的信用】ほんの少しだけ株式会社が有利

金融機関などの信用はほぼ同じ、しかし取引先などは合同会社より株式会社のほうが知名度ある分、株式会社のほうがほんの少しだけ有利。

【資金調達】少しだけ株式会社が有利

金融機関からの借入による資金調達面ではほぼ同じ、投資家から出資を募るうえでは株式会社のほうが有利。

【節税効果】株式会社も合同会社も同じ

株式会社も合同会社も同じ法人格をもち、利益に対してかかる税金は法人税となる検討できる節税策についてもほぼ同じ。

【設立費用】圧倒的に合同会社が有利

株式会社の設立費用は司法書士等に依頼した場合、登録免許税など諸費用も含めて30万円前後かかる、一方で合同会社の場合は15万円前後となり株式会社の約半分くらいの金額で設立ができる。

【経営の自由度】合同会社が有利

利益や配当金分配、役員任期など細かい部分において何かと株式会社には縛りがあります。一方合同会社は株式会社ほど縛りが少ない分、柔軟な経営と迅速な意思決定が可能となります。

このように株式会社と合同会社ではそれぞれのメリットやデメリットがあります。

実際にはメリットやデメリットを検討したうえで、せっかく自分の会社を設立するのだから、みんながよく知っている「株式会社」にしよう!という結論に至り「株式会社」を選択される方が多い傾向にあります。また株式会社の社長は『代表取締役』となりますが、合同会社の社長は『代表社員』という表示になります。この点についても判断するうえではとても大きなウエイトをしめているようです。

~こんな企業も合同会社だった~

日本では合同会社を2006年以降に設立ができるようになりましたが、諸外国ではもっと前から合同会社を設立することができていました。

仕組みを理解している諸外国の企業は、日本で会社を設立するうえでは株式会社より合同会社のほうが柔軟な経営をおこなうことができるという判断から、日本法人を設立する上で合同会社を選択する傾向があり、また株式会社から合同会社へ組織変更をする企業も少なくありません。

たとえば、スーパーの西友は平成21年にウォルマートの完全子会社になりました。その際に株式会社西友から合同会社西友に変更しました。

それ以外にも日本にある合同会社の有名企業としては、

合同会社DMM.COM、Google合同会社(グーグルの日本法人)、Apple Japan合同会社、アマゾンジャパン合同会社

このように超有名企業も合同会社を選択しています。

日本では合同会社の知名度が株式会社ほどはありませんが年々合同会社の設立ペースはあがってきています。会社設立の参考までにしていただけたらと思います。

 

【勝島一真プロフィール】
1976年生まれ。高校からアメリカンフットボールを始め、日本大学、株式会社オンワード樫山でアメフト選手として在籍。2002年税理士である父の急逝にともないアメリカンフットボールを引退し、株式会社勝島経営研究所に入社。その後、税理士法人ビジネスカツシマを設立し代表税理士に就任。税務・会計顧問業務のほか、開業支援や海外進出・M&A支援など様々な角度からのサポートを行う。

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