【社説】上越市の増える外国人市民数や、上越国際交流協会(JOIN)の先見性に見る

昨年12月11日のJOIN独自に行う「英語しゃべり場」終了後に参加者皆んなで記念撮影
上越市にある「上越国際交流協会(JOIN)」は来年3月で結成30年を迎える。現在は同市多文化共生課や教育委員会、上越教育大、県国際交流協会などからの事業委託も受けながら、市民プラザ内の国際交流センターで運営事業を行っている。まさに国際交流や国際理解のための役割を担い、市内に住む様々な国籍や民族などの異なる人々をサポートする機関でもある。
言うまでもなく、全国そして県内自治体にも国際交流協会はあり、それぞれが様々な事業を通して、各市内の国際交流の拠点としてその役割を果たしている。主な共通の事業は①外国人相談事業②生活日本語教室③通訳について学ぶ講座④異文化交流事業⑤国際交流サポーター養成講座⑥やさしい日本語講座⑦小中学校異文化交流イベント―などが一応挙げられよう。
そんな中、上越市内在住の外国人の実態については10年程前1、100人余りだったが、令和7年3月現在、2倍以上の2、430人を数えるという。国別ではフィリピン979人、中国347人、ベトナム310人、韓国170人、インドネシア142人、ミャンマー90人、ブラジル62人、タイ49人、ネパール及びパキスタン37人を数えるなど、中東やアフリカなども含め43か国から当市にやって来ている。以前は農村部などへの結婚が多かった時期もあったが、昨今は圧倒的に特定技能外国人としての外国人就労であり、土木・建設業はもとより食品製造やコンビニなどのほか、最近は電子部品製造などが増えているとのことだ。と言うのも国として人手不足は深刻化しており、生産性向上や国内人材確保の取組みとして、一定の専門性・技能のある即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築するために、ここに来て特性技能制度が創設されたためでもある。
さて、話を上越交流協会に戻したい。同市多文化共生課ではJOINのことをどう見ているか聞いた。まず「多文化共生に向けて、JOINは当市在住の外国人の皆さんに寄り添いながら、自分達独自のプログラムを展開されている」と担当者は話す。特にJOINが独自に積極的に取り組む事業を列挙すると①英会話講座②市学校教育との連携としての日本語学習支援や日本語初期指導、就学直前のプレスクール、学校への通訳者派遣③上越教育大との協働による学習支援、多文化共生セミナー⑤英語やフランスしゃべり場⑥更に市民活動として上越まつりや外国人医療支援⑦医療通訳派遣や医療通訳ボランティア講座―などのほか盛りだくさんな取組を行っている。
市からの委託を受ける生活日本語教室に少し言及したい。大きな企業では独自に生活日本語教室を設けるなど対応に当たっているものの、それでもJOINの教室に通う外国人就労者も増えている。そこで今、四カ所で行っている生活日本語教室では、より寄り添った対応に当たっており、通う外国人の国別の参加者が増え、ベトナムやインドネシア、ミャンマーなどからの外国人が著しく増えている。しかも、10代から20代の男女若者達が増加傾向だ。多感な外国人若者だからこそ、その対応の難しさもある。より丁寧できめ細かい対応が求められており、JOINのスタッフはもとより生活日本語ボランティアなども優しい対応に当たっているという。それが先見性のカギでもあろう。