記者コラム&今週の主なニュース 5月24日〜5月30日
記者コラム
コメは増産できるのか?
空前の米価高騰。まさに令和の米騒動である。
そんな中、江藤拓農水相が「コメは買ったことがない」「売るほどある」という失言で大臣を辞任し、後任の小泉進次郎代議士が早々に備蓄米の入札を止めて随意契約で流通させ、今日まさに全国のイオンやドン・キホーテで5㎏2,000円のコメが販売され始めた。
果たして、これで狂乱の米価高騰には一定の歯止めがかかるのか。抜本的な解決はコメの増産をはかっていくべきなのだが、早くも党内からこれに抗う声が出ているのも、農水族が幅を利かす自民党らしい。
自民党は今夏の参院選に向け、小泉進次郎を選挙の顔に仕立て、敗色濃厚とみられた戦局をひっくり返そうという腹積もりなのだろう。有権者が頭に留めておかなければならないのは、自民党内に未だにコメの生産調整を是とし、増産に待ったをかけようとする族議員が存在すること、彼らが歯止めをかけたせいで備蓄米流通が遅れ、しかも入札制にしたため市場価格に全く影響を及ぼさなかったという大失策(と言って良いだろう)があったことだ。
さて、コメの増産に話を戻すと、これが果たして本当に実現するかどうなのか、という話になる。深刻な農村の人手不足、圃場の多くは中山間地に追いやられて大規模経営に転ずるには難しい状況、世界的な気候変動から相次ぐ稲の倒伏被害、農協の買取価格はさほど上がっておらず(ならばなぜ小売店に並ぶ際には2倍、3倍の価格になっているのか)農家はほとんど潤っていないなど、生産力を上げるにはあまりにもアゲンストの要素が多い。
農業関係者からはこんな話も聞く「今生産力を上げると言っても、早急には難しい。作付けを増やそうにも、種もみの生産が追い付かないから」。一朝一夕にはいかないだろう、という観測だ。
ここに来て小泉農水相はコメの輸入枠拡大もいとわない態度を示している。食糧の安全保障、日本の食糧自給率を考えれば「コメが安くなるなら大歓迎」という気にはならない。
「稲作は国策なのだな」とあらためて思う。いっそのこと米農家を全員国家公務員にして生産をコントロールしていくのはどうか、という気にもなる。
(編集部 伊藤 直樹)
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