【記者ノート】上越市内運送業界の実情と今後の展開は。上越圏域ならではの拠点性と将来性展望は

上越圏域ならではの拠点性の中で、増え続ける貨物量をどうカバーしていくのか、上越圏域の運送業者の今後の展望に注目したい

私はいつも上越市内には運送会社が多いのに驚いている。かといって、県内の他の地域の運送業界の実情を特別に調べたわけではないが、特に直江津地域に多いのが特徴だ。地理的条件から見て、富山・石川などの北陸と長野などとの国道・高速道連結、更に直江津港を拠点に釜山港経由で韓国や中国、東南アジアとの航路などがあり、まさに高速交通体系による車による輸送とコンテナ船などの陸海による運送における拠点性が備わっている圏域であろう。市内の工場からの大量の荷物輸送や、長距離の貨物輸送が盛んな物流拠点地域でもある。

少し誇張かも知れないが、直江津コンビナートとも言うべき信越化学直江津工場を筆頭に、三菱化学直江津事業所の化学薬品のほかブルボン等の菓子類やハムなど、更に最近は太陽誘電などの半導体・電子部品など数多くの工場群が存在しており、貨物輸送量が増え続けていると聞いている。更に海上輸送においても建設機械や鉄くずなどのコンテナ荷物量も増加の一途を辿っている(24年度は前年比6.8%増)。こうした様々な要因によって、輸送貨物量がうなぎ上りに増えていることが、上越圏域の流通業界が佳境を呈している大きな要因であることは言うまでもない。

県営工業団地には今も新たな運送会社が進出して来ていることは事実だ。しかし、運送会社の関係者も警鐘を鳴らす。市内の大手の運送会社取締役総務部長は「当市には大きな工場があるうえ、交通網から見て荷物運搬にとっての立地がよく、更に県営工業団地も安価だったこともあり多くの運送会社が進出して来た。現時点では荷物量の大きな変化がないものの、一部では荷物も落ちて来ており、何よりも運転手の確保や燃料費の高騰など課題も多い。これからは淘汰されることも考えられ、業界としても生き残りを掛けた厳しさも考えられ、決して楽観出来ない環境にあると思う。と同時に運送会社同士の協力もあってもいいのでは」と話している。

統計によると、県トラック協会に加入している運送会社は上越地区(上越・妙高・糸魚川3市)は100社程であり、上越市内で運送業に携わる従業員数は4千人余りだが、市内の各運送業者を回る中で、改めて若者の運転手確保が最大の課題となっていることを知った。一部の荷物を除き全体として荷物扱量は増えていく中で、人員不足が続く現運送体制でどれだけカバー出来るのか、今後の課題は大きいように思う。そんな中、新たに発生した国土交通省による日本郵便のトラックなどの貨物運送許可取り消しが、今後どのような影響をもたらすことになるのか、輸送量の維持の観点から、こちらも新たに頭の痛い問題も起きてしまった。いずれにせよ、今後の上越圏域ならではの拠点性がある中で、上越圏域における運送業界がどのように展開されていくのか、そしてその将来の展望に注目していきたい。

 

竜哲樹
昭和25年新潟県上越市吉川区生まれ、新潟県立高田高等学校卒業。昭和48年3月富山大学文理学部卒業(教員免許取得)。元産経新聞社記者、元上越市議会議員。にいがた経済新聞社顧問。

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