【対話と信頼】情報共有が強い組織をつくる|関本大輔(株式会社アドハウスパブリック)#12

こんにちは。株式会社アドハウスパブリック代表の関本大輔と申します。

このコラムでは、「ブランディング」をテーマに、その本質や大切にしたい考え方について弊社の事例を交えながらお伝えしています。

今回のテーマは、チームにおける情報共有の大切さについて。

チームに自発的に動いてほしい、もっと協力し合って働いてほしい。そんなとき、欠かせないのが「情報の共有」です。なぜ情報共有が大切なのか、またどんな情報を共有すべきなのか、詳しくお伝えします。

ご興味がありましたら、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

「情報共有」こそがチームを動かす

「自発的に動いてくれない」
「なかなか自分で判断しない」
「もっと積極的になってほしい」

部下に対して、そんなもどかしさを感じるリーダーの方は多いのではないでしょうか。

でも今一度、立ち止まって考えてみてください。
その人に、判断するための情報はしっかりと渡せていたでしょうか?

必要な情報が無いまま自発力や自律を求められても、正しく判断や行動をするのは難しいはず。何を基準に判断すべきかという判断軸が共有されていなければ、自発的になりようがありません。

つまり、行動しない・判断しないのではなく「わからない」状態であることも多いのです。

チームの一人ひとりが自ら考え、動ける状態にするには、まずは正しい情報を共有し、判断できる土台を整える必要があります。

自律型チームに必要な基盤とは

一人ひとりが業務に主体的に関わり、組織の目標に向かって自律的かつ協働的に行動できるチームをつくるためには、7つの要素が大切とされています。

まずは人間関係、そして対話。心理的安全性があり、思ったことを素直に話し合える環境が土台になります。次に、適切な人材選び。チームにふさわしい価値観やマインドを持つ人が揃っていること、これもチームづくりにおいて重要なポイントです。

それから、「貢献」が考え方の軸になっていることも大切です。自己中心的ではなく、チームやお客さまへの貢献を考えること。また、自社の文化やミッションがチームに浸透していると、判断や行動の基準が整います。

そして、行動につながる正確な情報が提供されていること。必要な情報がメンバーにきちんと行き届いていると、一人ひとり自発的に判断・行動ができる。さらに、自分の役割や目標も明確になることで、自分の動ける範囲が分かり、より自律的な行動につながります。最後に、成果に向けて改善を続けていくことも、チームが成長を続けていく上で欠かせないポイントです。

この7つの要素が、目標に向かって自発的に動ける強いチームの基盤となります。情報がきちんと伝わっていると、自ずと自分で判断して動くことができるようになります。

チームに伝えるべき6つの“共通認識”

では、自律的なチームに必要な情報とは、どんなものでしょうか。
とくに大切なのが、次の6つの情報です。

1. ミッション(目的)
2. ビジョン(目指す未来)
3. バリュー(価値観)と行動指針
4. 役割(自分の役目と範囲)と業務構造(組織の仕組み)
5. 目標(ゴール設定)
6. 現在地(組織の現状)

まずは、会社の向かう先と、その上で「ここは守ろうね」という行動指針。それから、チームの中で自分に与えられた役割と範囲を知ることで、その枠の中で動き出すことができます。

そしてもう1つ重要なのは、現在地の共有。私自身も、毎週の全社会議で会社の今について伝えるようにしています。今こういう状況だから、これからこんなことを考えていかないとね、と。ここをちゃんと伝えて、一緒に考えていくようにしています。

また、目標設定の場面においても情報共有はとても大切です。

いきなり「目標を立てて」と言われても、まずは会社の方向性が共有されていなければ、何をどう目指せばよいのか分からない。多くの人が、目標設定に自信を持てないのも無理はありません。

アドハウスパブリックでは、「OKR(Objectives and Key Results)」という仕組みを取り入れています。大目標から中目標、小目標へと段階的に落とし込みながら、全体の方向性を共有することで、個人が自信を持って動けるようになる仕組みです。

情報を共有し、対話を重ね、目標を立てる。さらに、目標をチーム全体で共有する。この仕組みが上手く機能すると、チーム内の協力姿勢が生まれて業務の役割分担もしやすくなります。こんなふうに、情報共有を通じて会社やチームを理解することが、人材育成や組織の成長にもつながっていくのです。

情報共有は、対話であり信頼である

今、社会は「ビッグターン(大きな価値観の転換)」の時代へ。資本主義の限界が見え始め、これまでの価値観が揺らぎ始めています。人的資本やエンゲージメントが注目されているのは、そうした時代の転換点にあるからです。

情報共有ができない・苦手と感じる企業や組織には、知らず知らずのうちに「隠す文化」が根付いてしまっているのかもしれません。

「社員はそこまで考えないだろうから、伝えても仕方がない」
「細かく伝えなくても、きっとやってくれるはず」

このような姿勢のままでは、チームに信頼関係が生まれず、本来持っているはずのパワーも発揮できません。

情報共有とは「誰かに教えてあげること」ではなく、一緒に働く仲間として、同じ情報を前提に同じ目線で会話できる状態をつくること。

そのためには、包み隠さずに正直な対話を重ねること。そして、信頼し、信頼される関係性を築くことがリーダーの役割なのです。

一人ひとりが自律的に動ける、パワーのあるチームにしたい。そう思ったとき、まずは「情報を共有する」「正直な関係性をつくる」ことから始めてみてはいかがでしょうか。

今回はここまでとなります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

関本 大輔(せきもと だいすけ)

株式会社アドハウスパブリック代表取締役。新潟デザイン専門学校を卒業後、東京の出版社でデザイナーとして勤務。その後、父が設立した会社を継ぐため帰郷し、2013年に代表取締役として就任。

お客さまの本質的な課題解決につながるインナーブランディングと卓越したデザインで、さまざまな企業や事業のブランディングに携わる。過去1,000件以上の実績で、地域・業界を問わず評価されている。

米国ギャラップ社認定ストレングスコーチのほか、越後雪室屋ブランドディレクター・理事、新潟県6次産業化プランナー、新潟市異業種交流研究会協同組合理事長を務める。

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