記者コラム&今週の主なニュース 6月28日〜7月4日

記者コラム

選択的夫婦別姓の議論と「論破芸人」

先日、参院選新潟選挙区から出馬している打越さくら候補にインタビューをする機会を得た。

打越氏は議員になる前、弁護士として国を相手取った選択的夫婦別姓訴訟の弁護団事務局長を務めるなどこの社会課題に向き合ってきた人であり、いわゆる「推進派」の代表的存在でもある。

この度、参院選を前にした第217回国会で28年ぶりに民法改正法案が出され議論が再燃した。結局、採決に至らず今国会での決着は見送られたが、継続審議ということで、参院選後に自公が大敗して完全なネジレ国会になると一気に情勢が変わるかもしれない。一方で参政党のように強固に反対している野党もあり、そうした党が議席を大幅に伸ばせば反対派の声も大きくなるだろう。

文章上では「議論が再燃した」と書いたが、決して「議論が戦った」印象はない。まずネットニュースや動画ニュースなどによって刷り込まれる「反対派=保守、右寄り」「推進派=リベラル、左寄り」という安いイデオロギー闘争になることに違和感を覚えずにはいられない。この刷り込みのせいで、議論が自由度を帯びていないと感じる。

今国会での議論を聞いていると反対派の意見として多いのは「制度や社会の仕組みを見直せば、夫婦同姓でも不便なことはことはない。そしてそれは既に不自由のないように改正されている→変える必要はない」というもの。一方で推進派は「婚姻の自由は、結婚後にどちらの姓を名乗るかも個人の意思が尊重されるべき。家族の形が多様化し、すでに日本の伝統的な家族観にとらわれる理由はない」というもの。

これを見て「かみ合ってないな」と感じる。「かみ合う」とか「手が合う」というのはプロレスで良く用いられる用語だが、相手の技を受けきって相手の良さを引き出した魅せる試合を「かみ合った試合」と言うが、今国会の選択的夫婦別姓問題の議論は本当にかみ合っていないと感じる。

かたや「社会的な利便性を肯定する合理性」かたや「個人の想いの尊重」を盾にしており、これだとずっと平行線にしかならない。なぜこういう不毛な戦い方を続けるのか。かみ合わないとは、まさにこの状況だ。

こういう風潮は、昨今ネットや動画で頻繁にみられる、行き過ぎた「論破芸」を賞賛する文化の悪影響ではないかと思う。

ネットを見ていると「完全論破!!」などとタイトルを打っておきながらそれほど論破していない、なんならロジックが破綻しているケースの、なんと多いこと。そして最後に「にやっ」とするドヤ顔への何とも言えない違和感。「相手がぐうの根も出ない」のではなく、都合の良い切り取り方をしているだけ。

参院選に際して強く感じる。国会が「論客」あらため「論破芸人」ばかりになったら、気持ち悪い世の中になって嫌だなと。切り取り方によっては「石破総理、減税派の脆弱な主張を完全論破!!」「宮沢税調会長、財務省解体デモの理屈を見事に完封!!」みたいなプロパガンダも可能になってしまうからだ。

最後にドヤ顔で決めたものの勝ち、みたいな社会はスカスカに過ぎないか。

(編集部 伊藤 直樹)

 

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