【コラム】次々に名乗りを上げ賑やかになってきた上越市長選の前哨戦!

市のトップを選ぶ上越市長選もまもなく2カ月を切ろうとしている上越市
地元紙の報道も含め私の知る限り、上越市長選に名乗りを上げる人達が、今のところ5人にも及ぶ。ここに来て次々に名乗りを上げ、賑やかになってきた上越市長選の前哨戦だ。現職の中川幹太市長による″失言問題″によって多くの人達が市長選に手を挙げる事態となったのは、当然といえば当然なのかも知れない。まだまだ途中経過であり、今後更に増えるのかも知れないし、収れんされて三つ巴戦位になるのかも分からない。確かに市民の目からしたら、選択肢が広がり、大いに盛り上がることも考えられる。なお市長選は10月19日告示26日投開票だ。
中川市長が再挑戦で当選を果たした4年前、大いに新市長に期待した。この4年間政策的には特段の失点はないように思うし、市民に寄り添った施策も多い。ただ、今回多くの人達が市長選に名乗りを挙げる最大要因となったのが、市長の失言問題である。これまで目立ったものだけで5~6回にも及ぶ。特に、地元高校生に対する資質に関する発言だけは断じて許されるものではない。普段からそうした意識や認識を持っていなければ、そんな発言は出て来ようはずもない。その後も市長は深く反省し、日常的に専門家のアドバイスも受けながら、『2度としない』と誓っていたはずだ。政治家はいつも監視下に置かれており、決して失言を繰り返してはならず、今回の兵庫県三田市のコメを巡る失言は致命傷になり、市議会から文書で辞職を求められる事態に発展してしまった。
さて、今回名乗りを挙げたのが(検討中も含め)、3人の市議と同市出身の元大使だ。中でも元市長(2期8年)の市議は着々と準備を進め、先日300項目にも渡る公約政策を発表した。年齢で見ると34歳の市議から83歳の元市長(市議)まで、約50歳の開きがあり、幅広い年齢差だ。もう2人の市議(2期と4期)は自民系であり、市議会では現委員長であり、元議長という顔ぶれだ。また元大使は東大卒のエリートで以前同市のシンクタンク「上越市創造行政研究所」の所長も務め、市と関りも持ってきた。そう言えば、中川市長も元2期務めた市議でもあった。
さて、上越市の課題には、新潟労災病院の閉院に伴う今後の市全体の医療構想問題、最近の大雪による除雪費増などで財政調整基金が減っている財政問題、お隣妙高市に比べて観光分野のパンチ力が弱い問題、どこもそうだが少子高齢化に伴う空き家問題や小中校の統廃合はじめ介護分野の人手不足、地域コミュニティの希薄化、農業分野の後継者問題、スマート農業に伴う農業法人の担い手不足問題などなど、課題は山積みだ。これらの課題解決も待ったなしの状況だ。
市議選告示までまもなく2か月を切ろうとしている。この参議院選が終わると一気に市長選モードに入るに違いない。夏休み後9月議会もあり、今後中川市長が政策などを通して、失墜挽回を図れるのか、それとも9月議会を通じて、更に市議らからの追及の声が広がり、厳しい矢面に立たされることになるのかも注目される。いずれにせよ、国際情勢やトランプ関税など内外ともに厳しい時代を迎え、新潟県3番目の都市上越市だが、そのかじ取り役を決める市長選まで、どんなドラマが展開されるのだろう。
更に文中で言及した上越市が抱える様々な問題を、名乗りを挙げているそれぞれの人達がどのような構想を描き、どのように解決への道筋を付けていくのか、市民人一人が厳しくその政策や施策を吟味していかなければならないだろう。いずれにせよ私達市民は、我が故郷上越市が持続可能な発展が出来るように、地元経済が少しでも良くなり、市民生活が良くなることを心から望んでおり、それが確実に出来る手腕のある市長を選びたいものだ。
竜哲樹
昭和25年新潟県上越市吉川区生まれ、新潟県立高田高等学校卒業。昭和48年3月富山大学文理学部卒業(教員免許取得)。元産経新聞社記者、元上越市議会議員。にいがた経済新聞社顧問。