【組織変革】変われない組織の本当の課題とは|関本大輔(株式会社アドハウスパブリック)#13

こんにちは。株式会社アドハウスパブリック代表の関本大輔と申します。

このコラムでは、「ブランディング」をテーマに、その本質や大切にしたい考え方について弊社の事例を交えながらお伝えしています。

今回のテーマは、組織変革が進まない根本的な理由について。

「変わらなければいけない」と誰もが感じているのに、なぜ組織は変われないのか。組織変革を阻む要因と、それを乗り越えるための具体的なアプローチについて詳しくお伝えします。

ご興味がありましたら、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

 

変われない組織の“よくある停滞パターン”

最近、組織風土変革についての問い合わせが増えてきました。

詳しくお話を伺っていくと、「事業の変革をしなくては」「会社の課題を解決しなくては」と分かりながらも、なかなか改善が上手く進まないという課題があるようです。

社員の誰もが「変わらなきゃ」と思っているのに、手をつけられない。改善を実行することができない。そんなふうに停滞してしまう企業がとても多い印象です。

どうして、このようなことが起きるのでしょうか。

 

経営者側と現場社員の典型的なすれ違い

原因のひとつには、よくある上司と部下のすれ違いがあります。

部下側からは「上が考えるべきことだろう」という声がある。一方、上司の目線からすると「現場で話して変えていけばいいのに」と感じている。そんなすれ違いを感じたことがある方は多いのではないでしょうか。

例えば、業務効率化の話し合いの場面を想像してみてください。部下は「システムを変えたり、業務の流れを変えるのは会社が決めることでしょ」と思っている。しかし上司は「普段の作業のことは現場が一番分かってるんだから、みんなで改善案を考えてくれればいいのに」と感じている。お互いに相手が動くのを待っているうちに、結局何も変わらない状況が続いてしまうのです。

このすれ違いの根本にあるのは、純粋な信頼関係が構築されてないこと。コミュニケーションが取れないわけではなく、重要なことを話し合えない・踏み込めない関係性になっていることが原因にあります。

特に、今はコンプライアンスが重視される時代。コンプライアンスの課題、または多様性や個性を重視することを意識しすぎて、上司・部下の距離感が掴めず、本質的な会話ができなくなってしまっているといった問題もあります。

こうなると、本来は一緒に話し合って何かを成し遂げるべきところで、必要最低限のことしか実行できない状況に。

表面的な関係性でも、仕事は進められるかもしれません。しかし、何か新しいことを成し遂げたり、本質的な課題に向き合って改善するといった、普段の業務の範囲を超える部分まで積極的に話し合うことは、信頼関係なくしては難しいものです。

組織に対して積極的な力が働きにくくなると、「緊急じゃないけど重要である」問題が放置され続けてしまう。でも実は、その「緊急じゃないけど重要である」問題の中にこそ、本質的な企業の成長の要素が隠れています。

企業は変革をして生き続けていく必要があります。その変化を怠ってしまうと、仕事がなくなったり、あるいは人が働いてくれなくなったりと、企業の成長が停滞してしまう。成長する企業は、そういったコミュニケーションの問題や、自社の課題解決を放置しません。

 

組織変革を成功させるステップ

では、どのように進めていくのが望ましいでしょうか。組織変革には、いくつかのステップを踏んでいく必要があります。

まずは、チームの人間関係から。関係性を強化し、互いの理解を深め、何でも言い合える環境を作ることが大切です。先ほどお話しした信頼関係の構築がここにあたります。次に、共通目標の明確化。会社の向かうべき場所や存在意義を明らかにし、チーム全体が同じ方向を向けるよう、共通の目標や価値観を整理していきます。その上で、計画を見える化し、目標達成に向けて実行していきます。

これらのステップは、組織の状況に応じて丁寧に取り組んでいくことが大切です。各ステップの詳しいポイントについては、過去の記事でもお伝えしていますので、ぜひこちらもご参照ください。

【連載】ブランディングコラム、これまでの掲載一覧

また組織変革は、知識だけではなく実際に体感することが重要です。大切なのは、チーム全体を巻き込んで変えていくこと

お互いの違いを認識しながら、それぞれの強みを認め合い、自分たちが何のために集まり何のために働いているのかを一つ一つ整理していく。これらを丁寧に構築していくことで、オンリーワンの企業が出来上がります。これが組織文化変革における基本のプロセスです。

動かない会社を動かすには、何が必要か。それは、トップの覚悟と、社員を“その気にさせる”こと。そこを怠って、トップダウンで「コミュニケーションしろ」「コミットメントしろ」と言っても、目の前の業務で忙しい社員にはなかなか届きません。

ご自身の会社は、いかがでしょうか。共通目標の明確化やコミュニケーションは上手くいっているでしょうか。組織風土変革の第一歩を踏み出すために、まずはチームの現状を正直に見つめてみてください

今回はここまでとなります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

関本 大輔(せきもと だいすけ)

株式会社アドハウスパブリック代表取締役。新潟デザイン専門学校を卒業後、東京の出版社でデザイナーとして勤務。その後、父が設立した会社を継ぐため帰郷し、2013年に代表取締役として就任。

お客さまの本質的な課題解決につながるインナーブランディングと卓越したデザインで、さまざまな企業や事業のブランディングに携わる。過去1,000件以上の実績で、地域・業界を問わず評価されている。

米国ギャラップ社認定ストレングスコーチのほか、越後雪室屋ブランドディレクター・理事、新潟県6次産業化プランナー、新潟市異業種交流研究会協同組合理事長を務める。

 

 

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