【梅川リポート⑧】新潟県妙高市で全国強豪ラグビー合宿 妙高市長ら視察、全日本誘致構想も浮上
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初回掲載:2025年8月11日(再掲載:8月24日)

首都圏などの高校ラグビー4校、新潟県中学選抜による夏合宿

強豪・目黒学院のラグビー部員
新潟県妙高市の妙高合同グラウンドで8月3日から、首都圏などの高校ラグビー4校による夏合宿が開催され、選手・関係者ら約300人が集まった。観客や保護者を含め約400人が訪れ、真夏の高原が熱気に包まれた。8月8日には法政大学ラグビー部が初来市し、大学ラグビー合宿も実現。現地を視察した妙高市の城戸陽二市長、中村康司県議、宮澤一照妙高市議らは「合宿の里」構想の発展に期待を寄せた。
8月3日からの合宿には専大松戸高校、目黒学院、郡山北工業高校、日大明誠高校が参加。目黒学院は全国高校ラグビー大会常連で外国人選手も在籍する強豪だ。さらに新潟県選抜の中学生も合流し、世代を超えた合同練習が行われた。
会場を運営する山の家倶楽部LCC(藤井伸郎代表)は7年前からグラウンド管理を引き継ぎ、今年は新たに井戸水を確保。飲料水やシャワーが利用可能となり、仮設トイレも増設された。藤井代表は「将来的には日本代表を呼びたい」と語り、施設の魅力向上に意欲を見せた。
8日からは法政大学ラグビー部が初めて妙高市で合宿を行った。誘致の立役者は旅行業を営む上場企業・毎日コムネット(東京都)で、同社OBである宮澤市議の人脈が実現につながった。

法政大学のラグビー部員
毎日コムネットの片桐範之学校法人営業課長は「ホテル設備やグラウンド環境を総合的に見て、妙高が最適だった。学生時代の合宿経験は記憶に残り、将来指導者として再訪するきっかけにもなる」と述べた。高校生の合宿実績が既にある中で、大学・社会人チームへの波及効果も期待されている。
宮澤市議は「妙高にはスキーだけでなく、陸上やラグビーなど多様なスポーツ合宿の環境がある。マウンテンリゾート全体の中で『合宿の里』として位置付けたい」と強調。夏のグリーンシーズンでの地域活性化を課題に挙げ、「子どもたちの合宿の場として地域の活力につなげたい」と話した。
中村県議は、涼しい高原気候を最大の強みとして評価。「菅平(長野県)は全国的ブランドだが、練習グラウンドを1日独占するのは難しい。妙高なら集中して練習できる」と述べた。
一方で「現在はグラウンドが1面しかなく、複数面あればより多くのチームが来られる」と施設面の課題を指摘。トイレや宿泊施設には現状問題は少ないが、競技性を高めるには試合環境の整備が必要とした。
城戸市長は3日に初めて現地を視察し、「民間レベルを超えた集客規模に驚いた」と感想を述べた。妙高市としては公共施設でのラグビー環境整備や宿泊受け入れ体制の検討を進める意向で、具体的には「ふれあいパーク」のラグビー場化構想が浮上している。
宿泊施設については8月が年間のピークで、冬季を上回る稼働率となっている現状を説明。団体受け入れの確保と季節間の利用平準化が課題とした。
運営の藤井社長は「井戸水の確保は6年越しの悲願。今年から積極的な誘致が可能になった」と語る。目黒学院の存在が他校を呼び込む相乗効果を生み、今年は法政大学という新たなカテゴリーの合宿にもつながった。
また、藤井社長は「もう1グラウンドあればリーグ戦も可能になり、泊まり客や観客による経済効果はさらに拡大する」と述べ、全日本代表合宿誘致の夢も明かした。受け入れ先として赤倉ホテルなどが協力意向を示しているという。
法政大の新宮孝行監督は「人工芝の方が管理面で有利で、サッカーなど他競技との併用も容易になる」と述べ、公共施設での整備を希望した。土のグラウンドから天然芝への改修歴を紹介しつつ、「異なる環境での練習は選手の刺激になる」と高原合宿の意義を語った。
毎日コムネットは他競技にもネットワークを持ち、野球やアメリカンフットボールなど多様な種目での誘致も視野に入れている。今回の法政大合宿成功を契機に、大学や社会人チームへの展開を加速させる方針だ。
妙高市は従来、陸上やバスケットボール合宿で知られてきたが、ラグビー合宿は新たな集客資源として浮上した。市・県・議会・民間事業者が連携し、施設や宿泊、交通体制を整備すれば、菅平に並ぶ高原合宿地としてのブランド確立も可能だ。
今回の視察で市長や県議、市議は合宿地としての可能性を再確認。妙高のグリーンシーズン戦略は、地域経済とスポーツ振興の両面で新たな局面を迎えている。

8月3日の妙高市長、新潟県議、妙高市議の視察

8月8日の妙高市長、妙高市議の視察
(文・写真 梅川康輝)