信濃川にも「ヌシ」はいる? 新潟県長岡市で“水辺の伝承”を学ぶ講座が開幕

長岡市の「まちなかキャンパス長岡」では8月23日から、連続講座「ヌシ(主)と日本人 ―自然との共生を求めて―」が始まった。全国の河川や沼沢に棲むとされる「ヌシ」と呼ばれる存在を手がかりに、日本人の自然観を考える全5回の講座で、定員30名はすでに満席。市民の関心の高さをうかがわせた。

会場は満席。関心の高さがうかがえる

初回は「ヌシとは何か」をテーマに、國學院大學の伊藤龍平教授が登壇。『古事記』『日本書紀』に登場する八岐大蛇(ヤマタノオロチ)や、『常陸国風土記』に記された夜刀神(ヤツノカミ)の説話を紹介し、ヌシを「神と妖怪の中間にある存在」と位置づけた。また水木しげるの妖怪図鑑を紐解きながら、日本人が自然を畏れ、同時に親しみを寄せてきた歴史を解説した。

各地のヌシについて事例を紹介する伊藤龍平教授

続く第2講では「ヌシとのつき合い方」が取り上げられた。全国各地の伝承や昔話を整理し、人とヌシとの関係を6つの型に分類。ヌシとなりやすい動物やそうでない動物を例に、その特徴を示した。伊藤教授は「ヌシ伝承は日本人の自然観を映すもの。現代に生きる私たちが自然とどう向き合うかを考える上で、大きな手がかりになる」と語った。

ヌシについて知ることは、自然との共生のヒントになるとする伊藤教授

受講者からは熱心な声が寄せられた。長岡市内から参加した菊池由佳さんは「市政だよりで受講生を募集していて、おもしろそうだったから参加した。他の参加者の皆さんより知識はないが、話を聴いていると、全部がおもしろい」と話す。

「話の全部がおもしろい」とする菊池由佳さん

また、同じく長岡市内から参加した五十嵐範明さんは「長岡にも信濃川がある。ヌシがいるのでは?」と笑顔を見せた。

「信濃川にもヌシがいるのでは?」と五十嵐範明さん

講座はこの後、「ヌシの社会」「ヌシが人になる、人がヌシになる」(8月30日)、「現代に生きるヌシ」(9月6日)と続く予定。自然と人との関わりを再考する場として、市民の注目を集めている。

(文・写真 湯本泰隆)

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