【停滞から前進へ】新規事業を動かす突破口とは|関本大輔(株式会社アドハウスパブリック)#14
こんにちは。株式会社アドハウスパブリック代表の関本大輔と申します。
このコラムでは、「ブランディング」をテーマに、その本質や大切にしたい考え方について弊社の事例を交えながらお伝えしています。
今回のテーマは「新規事業開発」。
多くの企業が挑戦しながらも、なかなか進まなかったり、途中で立ち止まってしまうことの多い領域です。そうなる原因と突破口となるアプローチについてお話ししていきたいと思います。
ご興味がありましたら、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。
なぜ、新規事業は止まってしまうのか
最近、新規事業開発のご相談をよくいただきます。どんな企業も、その背景には既存事業の将来への不安があるようです。
市場縮小や人口減少で、既存事業の柱に依存できない。
でも、新しいことを始めようとしても、なかなか進まない。
そんなお悩みが多いです。
新規事業が進まない理由は、大きく分けて2つ。
1つは「人がいない」こと。既存事業を回すためのスタッフは揃っているものの、新しい事業をやる能力を持っている人がいない。
もう1つは「時間がない」こと。そもそも成功するかわからないものにリソースを割くことが難しいという現実もあります。
これらの理由から「とりあえず今は既存事業で回っているし…」と、どんどん後回しになり、計画が流れてしまう。みなさんの中にも、「やってみよう」とプロジェクトを立ち上げたものの、中途半端に終わってしまったり、いつの間にか他の業務に埋もれて頓挫した、なんて経験したことがある方も多いのではないでしょうか。
新しいことを始めるって、思っている以上に大変なことなんですよね。
アイデアをチームで育てる“POC”
新規事業を進める上で大切なのは、小さなアイデアの種をまずは形にした上で、実行するかどうかを判断していくこと。これをPOC(Proof of Concept)と呼びます。私たちも、このPOCをお手伝いすることが多いです。
ここでポイントなのは、1人ではなく「チームの集合知」で形にしていくこと。実際に、“1人の天才より、10人の集合知の方が優秀だ”というデータもあるように、意見を出し合って作り上げたアイデアの方が強いのです。
例えば、私が「こんな新しいペンを作りたいんだ!」と思いついたとします。でも、1人の頭の中だけで考えたアイデアって、周りから「売れるわけがない」と簡単に潰されてしまうんですよね。とくに新しいものを生み出す場合、その良さは周囲にはなかなか伝わらず、理解されないまま消えてしまう危うさを持っています。
ところが、そのアイデアをみんなで検討していくとどうなるでしょうか。「目的は?」「ターゲットはどうする?」「どうやって売る?」と段階を踏んで対話を重ねることでアイデアは磨かれ、ただの思いつきではなく「実現可能性のある事業案」として形にしていくことができるのです。
さらに、チームで取り組むことで進行スピードも上がります。今は時代の変化も早く、じっくり温めている間にチャンスを逃してしまうことも多い。だからこそ、「小さく形にして早く判断する」ことが重要です。
そして、もうひとつ大切なのは、POCによってリスクを抑えられること。途中段階でシミュレーションや顧客テストを行えば、本格的に投資する前に方向性を見直すことができます。もし上手くいかなければ、その段階でやめればいい。逆に手応えがあれば、そこからさらに磨きをかけて大きな挑戦に育てられます。
こうした「チームで小さく形にして、トライしながら育てていく」やり方が、止まりがちな新規事業を前に進める突破口になるはずです。
成功する新規事業に必要なもの
POCをうまく活かすには、正しい道筋(メソッド)と、集合知を引き出す仕組みが必要です。
「何を、どんな順序で考えるか」「どう意見をまとめて判断するか」が整理されていれば、チームは案外スムーズに進んでいきます。また決断も集合意見で行うことで、リーダーだけでなくチーム全員が当事者意識を持ち、納得感をもって進められるのです。
ただ、その集合知を出せるチームを作るのがとても難しい。だからこそ、私たちはストレングスファインダー研修やワークショップで、チームの信頼関係をつくるところからはじめます。チームの関係性を良くして話し合える間柄を作り、共通の目標を持ったチームができれば、アイデアは見事に育っていきます。
また、私たちのような外部が入ることも、1つのメリットだと思います。アイデアはみなさんに自由に出してもらいながら、私たちは社内の調整役としてクッションになり、言いづらいことも拾いながら実現に向けて動かしていく。実際に「外部の方が入ったから、一歩踏み出せた」という声もよくいただきます。
私たちの場合、進め方にメソッドはありますが、企業によってカスタマイズして動いていきます。決まった方法に基づいてチームを導きながらも、その場にいる人の感情や性格に寄り添い、クッションになる。その両輪がとても大事だと思います。メソッドだけでは、上手くいかなかったときに「このチームがダメなんだ」と自信をなくしてしまう。そうならないようにカスタマイズして、オンリーワンの事業をつくりあげていきます。
前回のコラム「変われない組織の本当の課題とは」にもつながりますが、会社を変えるには、新しい取り組みが必要です。ブランディングの観点でも、必ず「新しい何か」がなければブランドにはならない。新しいアクションを見える化してこそ、ブランドは形づくられていくものです。
私たちは、そのためのPOCをお手伝いしています。新規事業の立ち上げにお悩みの方は、ぜひお声掛けください!
今回はここまでとなります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
関本 大輔(せきもと だいすけ)
株式会社アドハウスパブリック代表取締役。新潟デザイン専門学校を卒業後、東京の出版社でデザイナーとして勤務。その後、父が設立した会社を継ぐため帰郷し、2013年に代表取締役として就任。
お客さまの本質的な課題解決につながるインナーブランディングと卓越したデザインで、さまざまな企業や事業のブランディングに携わる。過去1,000件以上の実績で、地域・業界を問わず評価されている。
米国ギャラップ社認定ストレングスコーチのほか、越後雪室屋ブランドディレクター・理事、新潟県6次産業化プランナー、新潟市異業種交流研究会協同組合理事長を務める。
【連載コラム ブランディングコラム】