10割すべて価格転嫁できている企業はわずか3.7% 帝国データバンク、県内企業の価格転嫁に関する調査結果を発表

価格転嫁の状況と価格転嫁率 帝国データバンク新潟支店の発表資料より

株式会社帝国データバンク新潟支店によると、新潟県内企業の価格転嫁率は43.5%となり、前回調査(2月)の42.5%から1.0ポイント改善した。コスト上昇分を「多少なりとも価格転嫁できている」と答えた企業も77.9%(前回76.0%)に増加したが、「10割すべて転嫁できている」との回答は3.7%にとどまり、多くの企業が負担を抱えていた。

帝国データバンク新潟支店が9月10日、「新潟県・価格転嫁に関する実態調査」(2025年7月)の調査結果を発表した。調査は7月17日から31日にかけて県内475社を対象に行われ、244社(回答率51.4%)から回答を得た。

調査結果によると、コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す「価格転嫁率」は43.5%だった。これは、コストが100円上昇した場合に43.5円しか販売価格に反映できず、残りの6割超を企業が負担していることを示している。前回2月調査と比較すると1.0ポイント改善した。

また、コストの上昇分に対して「多少なりとも価格転嫁できている」と回答した企業は77.9%となり、前回調査から1.9ポイント改善した。一方で、「全く価格転嫁できない」と回答した企業は9.8%と、前回調査から2.2ポイント低下した。

半年間で価格転嫁は進んだが、「多少なりとも価格転嫁できている」と回答した企業のうち「10割すべて転嫁」はわずか3.7%。「5割以上8割未満」が24.6%で最も多く、「2割未満」が23.4%、「2割以上5割未満」が13.5%、「8割以上」が12.7%となっており、部分的な転嫁にとどまる企業が大部分を占めた。

コスト項目別の転嫁率をみると、「原材料費」が55.7%と最も高く、次いで「物流費」が40.4%。一方、「エネルギーコスト」は33.9%、「人件費」は34.9%と低迷し、企業側の負担が大きかった。

帝国データバンク新潟支店は今回の結果について「原材料費は根拠を示すことも比較的容易だが、それ以外のコスト項目では取引先に対して定量的な説明がしにくく、価格転嫁が難しい事情があるようだ」と分析する。

続けて「デフレ経済に慣れ切った日本企業や消費者間でも徐々に値上げを許容する環境が醸成されつつあるが、コスト上昇分をサプライチェーンのどの部分で負担するかは大きな課題となっている」とコメントした。

 

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