【記者ノート】武江組社長インタビュー 公共土木113年、4代目社長(創業家)、更に“クラシックモダン”な家づくりも目指す

2024年1月に完成した㈱武江組の新社屋

治水事業を主に113年間、豪雪地帯を護り続けた

明治45年(1912年)4月1日創業の株式会社武江組は、総合建設業として113年の歴史を刻んだ。山を知り尽くし、山とともに歩んだ株式会社武江組は、創業当初は地すべり工事などの治水事業を主に、113年の歴史を重ねてきた。この間、豪雪地帯の東頸地域と住民を護って来たのだ。5代目社長だが、創業家としては4代目。現在、本社は浦川原区虫川にあるが、出身は隣の大島区大平。資本金は5,000万円で48人の従業員を抱える。国道や県道に架かる橋の建設工事はもとより、地すべり現場の最前線での災害復旧工事(堰堤等の砂防工事等も)はじめ、除雪など東頸地域の防災事業を担って来たのだ。

先駆けて週休2日制も、役員(常務)に女性登用

一方で昨今土木事業を担う働き手が減少しており、人手の確保は土木建設会社にとっては喫緊の課題だ。待遇改善はもとより従業員を大事にしなければ、生き残ってはいけない。そこで、そのための対策として2017年頃から地域に先駆けて取り組んで来たのが、週休2日制などの働き方改革だ。有給休暇の取得率も69.8%に増え、休日も120日で平均残業も月4.6時間と減らして来た。それらの取組の効果もあって建設会社として男女割合も8:2と改善し、女性を役員(常務)に起用するなどの改革も推進、その甲斐あってか平均年齢も49.2歳であり、離職率も8.34%と軽減させてきた。

地域を護るとともに、従業員守り続ける会社経営

インタビューに答える武江則孝社長

もう一点はやはり、公共土木工事の受注が減って来るという現実だ。まさに死活問題だ。もちろん一方で災害はいつ起きて来るかも知れない。特に昨今の異常気象による線状降水帯などに伴う風水雪害はじめ、土砂崩れ、地震などの心配は尽きない。従って地域を護る災害対応に万全期すためにも、従業員のスキルアップ研修も強化していかねばならない。働き方改革とともに求められているのは、DX化であり、新しい工法のICT施工の採用はじめ軽量盛土工法などで崩れにくく、工期の短縮が求められており、出来るだけ安く品質の良いものを造れるか、土木建設現場で求められているのも確かだ。

35年前よりアメリカ80回、独自な住宅デザイン

土木建設事業の減少する中で、会社の持続的発展のためには、住宅部門に力を入れていこうとの社長の思いに従業員達が応えてくれている。「私自身デザインを大学などで学んだわけではない。それでも私は35年程前からアメリカに出掛けた。年3回程のペースで既に80回にも及ぶ。建材の買付だけでなくアメリカの建築工法や文化、デザインなどを学んできた。自然素材を使った高性能で快適な家づくりと関わって来た。でもベースになっているのは、子供の頃に過ごした新潟県上越市大島区の約90年前の我が家の古民家であり、落ち着く家の秘訣は伝統デザインだと思う。それを一言で言えば、『クラシックモダン』と表現したい」とキッパリとそのイメージを話してくれた。2024年1月本社新社屋を完成させたが、まさに内部は映画のワンシーンが香る雰囲気だ。

新潟県上越市富岡のPATIO内に完成したモデルハウス

 

竜 哲樹(にいがた経済新聞顧問)

昭和25年新潟県上越市吉川区生まれ、新潟県立高田高等学校卒業。昭和48年3月富山大学文理学部卒業(教員免許取得)。元産経新聞社記者、元上越市議会議員。にいがた経済新聞社顧問

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