発達障害者が働きやすい職場づくり考える 新潟県長岡市が企業向けセミナー初開催

2024年4月1日から改正障害者差別解消法が施行され、「事業者による障害のある人への合理的配慮の提供」が義務化された。長岡市でも、公共施設や民間事業者が一体となって、障害のある人が暮らしやすい地域社会づくりに向けた取り組みが始まっている。

こうした中、2025年10月6日、新潟県長岡市で、発達障害者が働きやすい職場環境づくりをテーマにした企業向けセミナーが初めて開催された。対象は市内企業の人事担当者や管理職などマネジメント層で、当日は9人が参加した。

セミナーは、9人の参加があった。

講師を務めたのは、合同会社mojo(モジョ)の岩切健一郎代表。岩切代表は自身もADHDがあり、過去にお金の管理で苦労した経験をもとに、発達障害の特性を踏まえた企業研修を全国で行っている。「特性を『弱点』ではなく『能力の違い』として捉えることが大切」とする。

「お互いに歩み寄ることが大切」と語る株式会社アサヒプレシジョンの神林麻美さん

セミナーでは座学だけでなく、職場で起こりやすいコミュニケーションのすれ違いを具体的な事例をもとに考えるワークも行われ、参加者同士が意見を交わす場面も見られた。

岩切代表は「配慮することは相手のわがままを全て受け入れることではない。会社も当事者の話を聞きながら、お互いに歩み寄ることが必要。寄り添う気持ちと働きかけがあるだけで、職場は働きやすくなる」と語った。

参加者の一人、株式会社アドテックエンジニアリングの宮沢元樹管理一部課長は「わがままとあゆみ寄りの違いなど、接し方を学べた。まずは理解が大切。今後、ルールの中でどこまで歩み寄れるか考えていきたい」と話した。

また、株式会社アサヒプレシジョンの神林麻美さんは「今後、社内で相談を受ける立場として、発達特性は特別なことではないと伝えていきたい」と述べた。

セミナーに参加した株式会社アドテックエンジニアリングの宮沢元樹管理一部課長と株式会社アサヒプレシジョンの神林麻美さん

主催した長岡市商工部人材・働き方政策課の星野康也課長は「合理的配慮の義務化以降、企業からの相談が増えている。障害者雇用を進める第一歩として理解を深めてもらいたい。今後も継続的に開催していきたい」とした。

意見交換をする参加者

(文・写真  湯本泰隆)

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