クマから身を守るための正しい知識を 新潟県長岡で被害防止学習会、市民15人が参加

「クマ被害防止対策学習会」にて撮影
秋が深まり、行楽シーズンを迎えている。山菜採りやウォーキングなど趣味で山に入る人が増える一方、農作業などで山に出入りする機会も多くなる季節だ。
新潟県長岡市では、市内で相次ぐクマの目撃や人身被害を受け、市民が安全に行動するための知識を学ぶ「クマ被害防止対策学習会」が10月9日、アオーレ長岡で開かれた。市民15人が参加し、ツキノワグマの生態や、防御姿勢、クマスプレーの使い方などを学んだ。
講師を務めたのは、長岡市鳥獣被害対策専門員の鈴木暁慈朗(すずきあきじろう)さん。鈴木さんは、クマがエサを求めて広範囲を行動することや、「良い餌場」を覚えるとその場所に執着する習性を解説した。その上で、「畑や小屋の周辺に生ゴミや塗料などの誘因物を放置しない」「外出時にはクマ鈴やラジオなどで音を出す」といった基本的な対策を紹介した。
後半には、実際の防御姿勢の取り方やクマスプレーの使用方法を実演。参加者らは真剣な表情で見入り、体を動かしながら身を守る方法を体得した。
参加した長岡市内の男性(79)は「里山でウォーキングをしている。実際に遭遇したときの対処法を学べて安心した」と話した。長岡市鳥獣被害対策協議会によると、同市は県内でもクマの出没報告が2番目に多い地域で、今年は昨年より増加傾向にある。協議会では「電気柵の設置など、市民と一体となって取り組むことが重要。今後も情報発信と啓発を続けていく」としている。
長岡市では、クマなどの出没情報を知らせるメール配信サービス「ながおかDメールプラス」や、LINEの「選択受信サービス(鳥獣害)」への登録を呼びかけている。
(文・写真 湯本泰隆)