イタリアのまちづくりから学ぶヒント 市民オープン講座「まちの魅力を世界に伝えるには?」開催 (新潟県長岡市)
「自分のまちの魅力、外国の人にどう伝えますか?」
そんな問いかけから始まった市民オープン講座『まちの魅力を世界に伝えるには?~長岡のまちを歩いて見つけたヒントと、イタリアからの学び~』が、10月26日、長岡市大手通の「ミライエステップ」で開かれた。主催は公益財団法人長岡市国際交流協会。新潟県長岡市を中心に、45人ほどが参加した。
講師を務めたのは、まちづくり研究の第一人者である法政大学の陣内秀信特任教授である。講演に先立ち、25日には摂田屋地区をはじめとする長岡中心市街地を有志とともに巡り、現地での観察を踏まえて講演を行った。
講演では、陣内教授がこれまでに訪れたイタリア各地のまちづくり事例を紹介。1980年代以降、自然との共存を軸に都市と農村の魅力を融合させた開発が進められてきたことを説明し、オルチャ渓谷など農村景観を観光資源として活かす取り組みを挙げた。
さらに、イタリアで広まった「エノガストロミア(食とワインの地域文化)」の考え方にも触れ、「大都会よりも田舎の方が本物の味に出会える。少し高くても、地元の素材を生かす料理人がいることで地域の食文化がブラッシュアップされる」と語った。そのうえで、食材を地産地消する「キロメトロ・ゼロ(ゼロ距離)」の取り組みを紹介し、「長岡で実現できる。そのためにも自治体同士が連携し、地域の価値を共有することが鍵になる」と呼びかけた。
参加者からは多くの感想が寄せられた。長岡市内の50代男性は「コスパやタイパが重視される現代社会の中で、過疎化の進む地域こそ“非効率”を大切にすることの意味を改めて感じた」と語り、南魚沼市から訪れた井川賢司さん(40代)も「ヨーロッパで暮らした経験があるが、イタリアの考え方から学ぶことが多い」と話した。
会場には和やかな雰囲気が漂い、参加者たちはまちの魅力を見つめ直す貴重な時間を共有できた。
(文・写真 湯本 泰隆)




