【税を考える週間】「企業がより稼ぎ、正しい納税で地域が発展できるように」経営者を支え約70年の「法人会」 新潟でも「租税教室」など様々な展開
11月11日から17日は、国税庁が定める「税を考える週間」であることをご存知だろうか? この期間、税を身近に感じてもらおうと様々な啓発活動が行われる。一方で、長年企業経営者を対象に税の正しい理解を広める活動をしてきたのが、日本各地の「法人会」だ。
「税の本質は、思いやりの心です」と語るのは、一般社団法人新潟県法人会連合会の小川義了事務局長。同会は中小企業の経営者や個人事業主向けに税に関する研修会などを開催しており、県内でも1万社を超える会社が入会している。今回は「税を考える週間」に合わせ、法人会の取り組みについて取材した。
目次
○難解な税制…企業の成長のためにサポートを
○経営者の力になる活動
○税を通じて地域へ貢献
難解な税制…企業の成長のためにサポートを
法人会は全国で約70万社が加入する非営利団体。戦後、法人税が申告納税制度に移行し、経営者が自ら税を申告しなければいけない仕組みへと変わった。その際、納税の支援を目的に設立されたのが法人会だ。新潟県内(県法人会連合会下)には、税務署の管轄エリアごとに13の法人会が存在し、合計約1万3,000社が入会している。
実施している取り組み内容は各法人会でそれぞれ異なるが、税に関する経営者向けセミナーや地域貢献活動、そして国や地方自治体への提言活動が中心だ。
新潟市などで活動する新潟法人会では、月に2から3回ほどセミナーを開催。例えばこの12月は、11月と12月に決算を迎える企業向けに「会社の決算と申告」の説明会を実施し、税法の仕組みや税務処理などについて解説する。
複雑で理解しづらい税の仕組み。その上「今年であれば『年収103万円の壁』についてなど、税制は毎年変わるため、正しい税知識を身につける必要がある」と小川事務局長は話す。インターネットであらゆることが調べられる時代だが、税務署や税理士事務所などから招いた講師に教えてもらえるのは重要なポイントだ。
小川事務局長は語る。「我々の取り組みの目的は、正しい税知識の普及による企業の支援。企業には収益をあげてもらい、正しく納税していただきたいと思っている」。企業収益の一部は税として国と地域へ流れ、人々の暮らしを支える。この正しい循環をサポートするのが法人会だ。
経営者の力になる活動
各地の法人会の研修会は税関連だけではなく、情報セキュリティや近年急速に普及する生成AIなど、経営や経済に関するテーマを様々用意する。中でも、法人会が現在力を入れているというのがe-Taxなどによる税申告の電子化だ。現在、あらゆる業界で人手不足が深刻化している。それは会社側も行政側も同様で、電子化による省力化は双方にとってメリットがあるという。
また合わせて、経営者同士の横の繋がりができる点も法人会に入会するメリットだと小川事務局長は話す。法人会は業種を問わず入会でき、研修会や青年部会・女性部会ごとの取り組みなどでも会員同士が顔を合わせる機会がある。また、会員企業へビジネスマッチングのプラットフォームの提供を今後実施していく予定だ。
税を通じて地域へ貢献
もう一つ法人会の取り組みとして重要なのが、提言活動だ。毎年、各地の法人会が会員企業からの意見を汲み取り、全国法人会総連合で取りまとめて国や地方自治体、各党へ提言している。税や財政に関するものや経済活性化についてなど、中小企業の立場からの要望を伝える役割もある。
また、青年部会や女性部会を中心に地域の子どもたちへ向けた税の啓発活動も実施している。新潟法人会では、管内の13の小学校で「租税教室」を実施。「なぜ税金を収めるのか」「税金はどこへ行って何に使われるのか」など税の基本から解説する。合わせて、そうして学んだ税の知識を絵はがきにしてもらうコンクールも毎年開催している。
税を正しく理解し適切に納めることは、企業の健全な成長と地域社会の発展を支える基盤でもある。経済環境が刻々と変化する中で、経営者が正しい知識を持ち、互いに学び合う場は貴重だ。全国の法人会の地道な活動の積み重ねが地域経済の下支えになるだろう。
12月2日には新潟法人会と県法人会連合会主催で特別講演会と年末懇親パーティーを実施する。
講師を務めるのは、ネット広告やふるさと納税サイト「ふるなび」運営などを手掛ける株式会社アイモバイルの社外取締役・崔真淑氏。「地方経済の今〜経済学から考える地域活性化〜」と題し、エコノミストの視点から講演する。
場所はANAクラウンプラザホテル新潟(新潟市中央区)。参加費は、会員の場合は1人6,600円で、一般参加で1人7,000円(いずれも税込、講演会のみの参加でも同料金)。定員は250人で、定員に達し次第応募を締切る。締切日は、11月19日まで。問い合わせは、新潟法人会(電話番号:025−223−1242、もしくは025−223−1243)まで。
【関連リンク】
一般社団法人新潟県法人会連合会 webサイト





