【人の行動原理】“人が自然に動く”組織づくりとは|関本大輔 (株式会社アドハウスパブリック)#15

こんにちは。株式会社アドハウスパブリック代表の関本大輔です。

このコラムでは、「ブランディング」をテーマに、その本質や大切にしたい考え方について弊社の事例を交えながらお伝えしています。

今回は、私がこれまでの経験の中で培い、ビジネスや物事を考える際の基盤にしてきた「人の行動原理」について、整理してお伝えしたいと思います。

ご興味がありましたら、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

 

人間の本質に立った組織づくり

私が以前から持っている、ひとつの考え方があります。それは、「人は自然とこういう行動をとる」という傾向を捉え、その本質に基づいてビジネスや人が動く仕組みを考えることです。

この感覚は、日々の仕事やチーム運営の方法を考えたり、物事を決断する際の基盤にもなっています。
人がこういう状況でこう考える、こう動く、という観察から行動原理を把握し、それを仕事やサービス設計に反映してきたのです。

経営でも組織でも、制度や仕組みを整えることは大切ですが、それ以上に大事なのは“人の本質”を理解すること。私たちは理屈ではなく感情で動く存在であり、その前提に立たないとどんな仕組みも続きません。

そこで、私がこれまでの経験で見つけた、人が自然に動くための行動原理について、今回は6つに整理してお伝えします。

 

人が自然に動く“6つの行動原理”

1. 人は「自分で決めたこと」しか動かない
どんなに良い目標でも、「やらされ感」があると人は本気になれません。
だからこそ、リーダーの役割は“決めさせる”ことではなく、“決めるための環境をつくる”こと。主体性を生む仕組みが必要なのです。

2. やることが明確になると、人は元気になる
人は不安よりも「見通し」を持てると動きやすい生きものです。
やることがハッキリした瞬間、表情が変わる。方向が見えると、人は前向きになれるものです。

3. 情報を共有することで、信頼と協力が生まれる
人は「分からない」状態が続くと不信感を抱きます。
だからこそ、情報をオープンにし、共有する仕組みを持つことが信頼の第一歩。
共有の量が、チームの連携を決めます。

4.「誰かの役に立つこと」が働く基本
働くとは、役立つ・貢献するということ。ギブ&テイクではなく、まずはギブから始まる。
与える者は与えられるという「ギバーズゲイン」の原理は、どんな組織にも通じると思います。

5. 仕組みが人を支える
「続かない」のは意志が弱いからではなく、仕組みがないから。
だからこそ、忘れやすさや迷いを減らす仕組みをつくることが大切です。

6. 実践することで、はじめて身につく
どんな知識も、行動に移してはじめて、体に落ちる。
だから業務においても、まず“やってみる”。やる中でしか、本当の理解は生まれません。

これらの6つは、私自身の経営にも、クライアントの組織支援にも共通して通じる考え方です。
「人が動く基本思想」と言えるかもしれません。

 

「やりたい」が生まれる環境をつくる

これらの行動原理を踏まえると、組織づくりは「ルールで縛る」のではなく、「仕組みで回す」ことがポイントです。

情報共有を仕組み化し、定例会議で同じ資料を見て共通言語で話す。判断基準を統一する。
こうした仕組みだけで、意思疎通の質は驚くほど変わります。

また、リーダーの“見方”ひとつで、人の価値は大きく変わります。
どんな小さな成果も認め、一人ひとりが持つ多様な力を引き出す姿勢があるだけで、組織の中で個々が自然に動き出していくのです。

これまでは、組織運営において「受け身な人をどうやって動かすか」という考え方や仕組みが基本となっていました。しかし、これからの時代で大切なことは、「自発性を引き出す」こと。

働くことが「やらなければ」から「やりたい」へ変わる環境をつくることが、次の時代のテーマです。

 

すべての人と企業が、自分らしく輝く社会へ

アドハウスパブリックでは、長年「すべての企業と、すべての人が、自分らしく輝く社会をつくる」ことをビジョンに掲げてきました。

これまでの時代に通用していたルールや管理の方法では、もう人は動きません。

これからは、もっと伸びやかに、もっと自発的に。
個が輝く組織をどうつくるかが、次のステージです。

私たち自身も、その進化をサポートするための体制やサービスを準備しています。
一人ひとりが自分らしく輝ける組織を増やし、社会全体が互いの個性や力を認め合える環境になっていく──それが、すべての企業と人が輝く社会をつくることにつながると思っています。

今回はここまでとなります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

関本 大輔(せきもと だいすけ)

株式会社アドハウスパブリック代表取締役。新潟デザイン専門学校を卒業後、東京の出版社でデザイナーとして勤務。その後、父が設立した会社を継ぐため帰郷し、2013年に代表取締役として就任。

お客さまの本質的な課題解決につながるインナーブランディングと卓越したデザインで、さまざまな企業や事業のブランディングに携わる。過去1,000件以上の実績で、地域・業界を問わず評価されている。

米国ギャラップ社認定ストレングスコーチのほか、越後雪室屋ブランドディレクター・理事、新潟県6次産業化プランナー、新潟市異業種交流研究会協同組合理事長を務める。

 

 

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