東京都墨田区の平野石油株式会社が新潟県長岡市に簡易給油機を寄贈 BCP対策に活用 災害対策と環境負荷軽減へ
新潟県長岡市では、2004年に発生した水害や2007年に発生した中越大震災の経験を踏まえ、日頃から災害に対する備えや事業復旧の速さを重視している。その一環として、2020年9月から、災害発生時などの緊急時に迅速に稼働させ、安定的に燃料を確保するため、消防車、ダンプ、ロータリー車などを含めた公用車の一部をクリーンディーゼル車へ移行している。
クリーンディーゼル車の燃料は軽油であるため、ガソリンよりも火がつきにくく、運搬・保管がしやすいという特徴がある。法律上も、軽油はガソリンより一度に多く運搬できるため、災害発生時でも被災地へ多く供給できるという利点がある。現在、長岡市の報告に寄れば、2025年4月時点で、消防車、バスを含む同市公用車1138台中468台が経由車両となっており、そのうち12台がクリーンディーゼル車となっている。
2025年11月、東京都墨田区に本社を置き、軽油、灯油、重油、GTL燃料の配送や、災害時の燃料確保や防災備品の販売、避難訓練のサポートなどの災害対策を行う平野石油株式会社(平野賢一郎 代表取締役)は、企業が地方自治体の地方創生プロジェクトに寄付することができる「地方版ふるさと納税」を活用し、同社オリジナル簡易給油機とバイオディーゼル燃料190リットルの寄付(総額2,000,000円相当)が行われた。
ガソリンと同じく化石燃料を原料としている軽油は、燃焼時に多くの二酸化炭素を排出する一方、植物由来の燃料「バイオディーゼル」は、廃食用油などを再利用して作られ、軽油の代わりとして使用できるほか、軽油と混ぜて使うことも可能である。
政府が2030年までに温室効果ガス排出量を46%削減し、2050年までに実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指している中で、バイオディーゼルは、再生可能資源を活用することで排出量を大幅に抑えられることから、自動車や運送業界における温室効果ガス削減の有効な手段とされている。
7日にはアオーレ長岡で贈呈式が行われ、目録の授与と給油機の披露が行われた。東京に本社を置く同社だが、毎年の長岡花火大会では運営側の発電機用燃料を提供するなど、以前から長岡市とのつながりが深い。今回の寄付は、長岡市が新潟県内でも特に環境問題への意識が高く、積極的に取り組んでいることを評価したことによる。
寄付された給油機は最大190リットルを備蓄でき、これは東京から福岡までを2往復できる量に相当するという。燃料が少なくなると自動で給油業者へ通知され、補給が行われる仕組みとなっている。
今回の寄付により、長岡市はBCP対策としてディーゼル車用燃料を常時一定量備蓄できるようになり、災害時の初動に混乱があっても、災害対策本部が設置されているアオーレ長岡内で迅速かつ継続的な給油が可能となった。
寄付を受けた磯田達伸長岡市長は「市民に向けて、防災体制が一歩進んだことをPRしたい」と述べた。また、寄付を行った平野賢一郎代表取締役は「適切な自治体に寄贈できてよかった」と笑顔を見せた。
(文・写真 湯本泰隆)



