【記者ノート】新潟アパタイトとWith Youが作る「エソ」の焼き干しが、『えそだしつゆ』と『えそのみそ汁の素』として製造販売(山崎醸造)を開始
水産・福祉連携で“エソ”の焼き干しづくり、『えそだしつゆ』、『えそのみそ汁の素』販売
障害者も雇用し精密部品製造・検査を行う株式会社新潟アパタイト(新潟県上越市柿崎区)および、就労継続支援A型・B型事業所を運営する株式会社With You(新潟県柏崎市)はともに発祥は上越市上千原だが、父の事業を受け継ぎ現在社長を務めるのは小林俊介社長(41歳)。
両社では本業のほか、これまで未利用魚(エソ)の『焼き干しづくり』にも取り組んで来ており、これまでもラーメン店や料理店などにも提供して来た。そこで障がい者就労支援施設が携わる“エソカラエシカルプロジェクト”(水産・福祉連携)に賛同した山崎醸造株式会社(新潟県小千谷市)がこのエソのだしを使った『えそだしつゆ』と『えそのみそ汁の素』を販売開始し、このほどエソの焼き干しづくりを行う新潟アパタイトの小林かなえ取締役と、山崎酒造の広井伸行常務取締役がエソ製造所(上越市)にて、ともに会見を行った。
未利用魚の「エソ」が『唯一無二』の旨味を!そばつゆ・煮物・卵かけご飯などに最適
「エソ」は新潟でも漁獲量が増えたものの、新潟では馴染みがなく、加工出来る業者や体制が整わないため廃棄された未利用魚だったが、エソ加工に障がい者からも携わってもらい、旨味成分の高い『エソだし』の加工を経て、醸造会社との“コラボ”による美味しさの商品づくりにも漕ぎつけたものだ。
作業工程はエソのウロコや内臓などを取り出し、90度で12時間程焼き、その後乾燥させる。今は2人の障がい者を含む4~5人で作業を行っている。小林取締役は「障がい者の方もとてもやりがいがあると喜んでいる。一人でも多くの皆さんから『エソだし』を食べて知って貰いたい」と話している。『えそだしつゆ』などの販売元となる山崎醸造の広井常務も「あご(とび魚)にも似た味わいは、かつお節にも引けを取らない旨味と香りが素晴らしい。そばつゆ・煮物・卵かけご飯などに最適」とPRに余念がない。
障がい者雇用は父から受継ぎ、現社長は障がい者に寄り添い、更なる就労支援拡大を
さて、新潟アパタイトは元々創業者の小林勇一さんが弱電作業所から事業をスタートし、障がい者も雇用しながら事業を拡大して来た。今では埼玉にも工場を持つ。長男の俊介さんは2015年に独立し、新潟県柏崎市に障がい者が手に職をつけ、就職出来るよう支援するWith Youを設立し、就労支援事業(A型・B型)にも一段と力を入れて来ている。
主な仕事は自動車や医療機器部品の検査や梱包などで従業員の7割ほどが知的などの障がいを持っているという。そして2年前の39歳の時に、父の後を継いで新潟アパタイトの社長に就任した。
竜 哲樹(にいがた経済新聞顧問)
昭和25年新潟県上越市吉川区生まれ、新潟県立高田高等学校卒業。昭和48年3月富山大学文理学部卒業(教員免許取得)。元産経新聞社記者、元上越市議会議員。にいがた経済新聞社顧問。



