【ジープ島からの贈り物】第9話  ジープ島とは 渡会和馬

上から見たジープ島

吉田宏司さんは、ジープ島の開島者であり、僕の師でもある。そして、ジープ島を12年間かけて世界絶景100選1位にまで導いた。

僕はジープ島に来るまで、歩くジープ島が吉田さんだと思っていた。しかし、今ジープ島に住んでいて思う。歩かない吉田さんがジープ島なんだと、、、。それくらい吉田さんという人に魅力を感じ、ジープ島という場所に人の想いを感じる。

ジープ島と吉田さん

とはいえ、ジープ島を知らない方もいると思う。この場所は、日本からグアムを経由しミクロネシアにあるチューク諸島の中にある本当に小さな島である。

直径34m、周囲110m。小さな小屋が2つあり男女別々の場所で夜は雑魚寝かジープ島には、蚊がいないので雨が降らなければビーチベットを使い外で寝ることも可能である。雨水で生活用水をまかなっていて、貯水タンクがあり節約の為に夕方に浴びるシャワーは1人バケツ1杯で洗濯までしてもらう。

ここまでを文章だけで見ると、あまり聞こえが良くない人もいるかもしれない。ただ、お客様に良く言われることがある。”来るまでがとてもハードルが高かったけれど、こんなに過ごしやすいとは思わなかった”。

そうここはまさに自然にとっても人にとっても楽園なのである。2年間、この場所で過ごし想うことは人もまた自然の一部なんだということを心から実感する。海が太陽によって水蒸気になり雲ができる。雲が山にぶつかり冷やされ雨が降る。

犬(ビキニ)、ジープ島、虹

水が山(土)を通り、草木が芽生え空気を綺麗にし、人の飲料にもなりやがて海に戻っていく。太陽は、浄化し、雨は鎮静を促し波風はあらゆるものを流してくれる。僕達は、太陽を浴びなければ空気がなければ雨がなければ生きていられないんだと、ジープ島の生活を通して理屈でなく、心で誰でも感じることができるそんな場所である。

そして、もう一つ。自分をもっとも自然な状態に戻してくれる。言い換えれば、素直、ピュアそんな言葉でもいいだろう。

ジープ島で僕は、海パン1枚でほぼ生活している。1年間を通して、温度が外も海の中も28°〜30°と本当に過ごしやすい環境である。

何が言いたいかというと服もあまり着ない。女性ならお化粧もしない。生まれてきた頃から持っている身体と心で数日間この場所で過ごすわけである。

もちろん、最低限の衣類は着ている。どんな年齢でも、仕事でも、肩書でも、性別でも、どんな人生経験を送っていても、身一つで過ごすのがジープ島の生活である。

外で寝る

星空とTaraとビキニ

お互いに隠すことができない。逆にいうと自分の本当の良さが見えてくるのである。自然という字にレ点を打つと「然るべき自分」となることを吉田さんに教えてもらった。

人は、自然の中にいると、不自然ではいられず取り繕えない。ジープ島には、不便なことはあっても不自然なことはないのである。

僕達は、自然という環境から離れ過ぎて、人間だけで幸せを求め過ぎてしまったのかもしれない。もう一度、心の目を広げて人の本質である真・善・美をジープ島を通して共に感じ伝えていけたらと僕は思う。

ジープ島とは、自然と人の調和なのである。

チューク環礁

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