【大盛況】身寄りなし問題を学ぶ場を長岡でも 「みよりなし長岡」が初の定例研修会
家族や親族がいない、または疎遠であるために、賃貸契約や施設入所の身元保証人を確保できない、病気や災害時に緊急連絡先や医療同意の代行者がいないなど、生活上の困難が生じる「身寄りなし問題」。この課題について、市民と専門職が共に学ぶ場をつくろうと、新潟県長岡市では、「支援の和∞つながる会〜みよりなし長岡〜」が発足した。2025年11月13日には、同市内にある市民体育館で初の定例研修会が行われた。
初回研修会となる同日では、片沼・橋本弁護士事務所の片沼貴志弁護士を講師に迎え、「身寄りなし問題を考える」と題した講演を実施。長岡市のほか、見附市や燕市などからも参加があり、当初の予定を大きく上回る65人が集まった。

身寄りがない人が亡くなるとどのような法的問題が生じるかを解説している片沼貴志弁護士
片沼弁護士は、身寄りのない人が直面する法的・生活上の課題を、医療や福祉の現場で起きこりうる事例を交えて解説。後半では、参加者同士が講演の感想を共有した。新潟市を中心に活動するNPO法人「身寄りなし問題研究会」の須貝秀昭代表もオブザーバーとして参加し、「勉強会だけに終わらせず、ソーシャルアクションにつなげてほしい」とエールを送った。

「勉強会だけに終わらせず、ソーシャルアクションにつなげてほしい」とエールを送るNPO法人「身寄りなし問題研究会」の須貝秀昭代表
弊紙の取材に対し、佐藤勇代表は、「想定を超える参加者数に驚いた。身寄りなし問題への関心の高さを感じた」と話す。さらに「ケアマネジャーの視点だけでは不十分。デイサービス、訪問介護、訪問看護、リハビリ職など、多職種が共に学ぶことで支援の質は高まる」と述べ、自身も他職種から学び続けてきた経験を振り返った。
同会設立の背景として、「地域包括ケアや共生社会といった専門用語は一般の方には分かりにくい。難しい言葉を抜きにして、市民と専門職がフランクに話せる場をつくりたい」と思いを語った。
参加者からも前向きな声が聞かれた。長岡市の50代女性は「ためになる話がたくさん聞けてよかった」と話し、同市の60代女性は「皆さんがそれぞれの立場でできることに取り組んでいることが分かり、励まされた」と振り返った。片沼弁護士も、「これだけの人数が集まるとは思わなかった」と、身寄りなし問題における地域の人びとの関心の高さに驚いた様子だった。
身寄りなし問題に限らず、同会では今後も、地域で生じる多様な社会課題をテーマに定例研修会を続けていく。参加にはあえて申込制を設けず、誰もが気軽に参加できる場とする方針だ。佐藤代表は「地域の誰もが参加できる学びの場として、仲間の輪を広げていきたい」と話している。
次回開催は、12月11日(木)19時から。「身寄りのない方への居住支援」として、今回と同様の長岡市民体育館で行われる予定。

今後の方針と意気込みを語る佐藤勇代表
(文・写真 湯本泰隆)
