【キシャメシ年末年始SP】編集部厳選・新潟のアツアツグルメ 喜京屋(長岡市)の四川火鍋コース

年末年始のキシャメシは、寒い季節に身も心も温まるアツアツグルメ。にいけい編集部メンバーのイチオシをご紹介する。新潟県のあちこちから「熱を感じる」温かメニューを取って出し

「ヒィ~辛い!けど旨い」長岡の名店で薬膳香るグツグツ鍋を満喫

この日は長岡駅前での取材終わり。冷え込む夕方、事前に予約をしてあった店へ向かう。中国四川料理「喜京屋」だ。創業は明治28年、長岡を代表する老舗中華の名店として知られる一軒。長岡駅大手口から徒歩5分ほど、赤い外観が目を引く殿町1丁目の一角に店を構える。

この店は、長岡で取材がある際に何度もランチで利用していたのだが、ずっと気になっていたメニューがあった。それは、「火鍋」である。

火鍋とは中国で広く親しまれる鍋料理で、唐辛子や花椒などの香辛料・薬膳を煮込んだスープに具材をくぐらせて楽しむ料理。辛味の効いた麻辣スープと、まろやかな白湯スープの対比が魅力で、近年日本でも専門店が増えつつある。

今回は、前日までの予約でのみ味わえる「四川火鍋コース(1人前4,500円、2人前~)」をお目当てに訪れた。鍋、名物よだれ鶏、中華麺、デザートまでがひと通りセットになっており、食べ進めるほどに物語のあるコースだ。

店に着くと、赤と白に二分された本場仕様の火鍋がセットされており、着席すると、次々に具材が運ばれてきた。鍋そのものも店主が四川省で買い求めたもので、中央の仕切りは太極の陰陽を表しているという。

まずは前菜のよだれ鶏から。同店の看板メニューの一つであるよだれ鶏はキシャの大好物。しっとりと火を入れた鶏肉に、花椒とごまの香り豊かなタレがからむ。名前の通り「思い出してもよだれが出る」一皿で、これだけでも一杯やりたくなる。

いよいよ火鍋へ。具材は豚肉や鶏肉、イカやカニ爪などの海鮮、たっぷりの野菜、きのこ類、豆腐などが美しく盛られたセットになっている。これで2人前。バラエティ豊かな具材にも心が踊る。

スープは、辛味を効かせた赤い麻辣スープと、まろやかな白湯スープの二色仕立て。どちらにもナツメやクコの実など薬膳素材が惜しみなく入っており、鍋が煮立つほどに香りが立ち上る。

赤いスープをまとった豚肉を噛んだ瞬間、花椒の痺れと唐辛子の辛さが舌に跳ねる。強烈で刺激的! だが次の瞬間、コクのある旨みがふわりと追いつき、辛さに丸みが生まれる。辛くても手が止まらないとはこのこと。白湯は対照的に穏やかで、野菜の甘さを引き立てながら体に染みていく。

薬膳の香りとスパイスの辛さ、豚肉の甘みが渾然一体となり、食べ進めるほどに体の芯から温まっていくのが分かる。汗ばみながらも、「もう一枚、もうひと口」と豚肉を鍋にくぐらせ続けてしまった。

締めは中華麺。スープを適度に残し、好みの鍋に投入して一煮立ちさせる。麺がスープをしっかりと抱き込み、薬膳とスパイスの層のある味わいが一気に口の中に押し寄せる。そして、デザートの杏仁豆腐

明治から続く長岡の名店が、本場で学んだ技と感性で仕上げた四川火鍋。辛さの中に確かな旨みがあり、薬膳が体を内側からじんわりと温めてくれる。よだれ鶏から鍋、〆の麺、デザートまで最後まで余韻が続いた。長岡でちょっと特別な夜ごはんを楽しみたいとき、事前に予約をしてでも味わいたい一鍋だ。

(キシャA)

【中国四川料理 喜京屋】

住所:新潟県長岡市殿町1-3-9
TEL:0258-32-2417
営業時間:11:00~21:20(LO20:50)
定休日:火曜(ほか不定休)
駐車場:2台

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