【記者ノート】オギハラ工業株式会社荻原社長(36)インタビュー、昨年創業100周年機に35歳で社長就任、スローガン『スキマを満たし、人のチカラに』

1973年に現在地の上越市新保古新田に工場を建設

本社外観

お客のニーズに常に寄り添い応えた100年

オギハラ工業は1924年自転車店として創業、戦後からは溶接部門を立上げ一輪車やリアカー、スノーダンプなどの製造を重ね、現在は主に農業機械や物流の搬送機器の製造など常にお客のニーズや時代の流れに沿ったモノづくりに徹して来た。昨年4月100周年の節目の年に、5代目の社長に。

同級生だった4代目の長女との結婚を機に9年前にオギハラ工業に入り、同社ゼネラルマネージャーを経て昨年社長に就任した。荻原拓実社長は「就任に当たり、社是である『なお高く』とともに、決意として『スキマを満たし、人のチカラに』を掲げたが、とにかく自分の足でお客のニーズを鋭くキャッチし、大手が入れないスキマを見つけ、お客の期待・満足に応えられるチカラ(対応力)を!との思いからだ」と力強く語る。

独自加工技術でOEM生産(共同開発も)事例も

最新鋭の設備が導入された工場内

水稲用育苗箱洗浄機やクローラ運搬車・つる切機はじめ電動運搬車、脱穀機、スノーダンプなどの自社製品だけでなく、農業機械を中心に全国から依頼を受け、傾斜地専用草刈機や農業用高所作業機、自走式薪割り機、自走式草刈機などのOEM(他社との共同開発も)生産受託も行なって来た。特にOEM生産の傾斜地専用草刈機は2022年グッドデザイン賞を受賞した。設計から板金・溶接・塗装・組立までワンストップでお客のニーズに合わせた「ものづくり」の出来るメーカーであることから、OEM生産が得意だ。

拓実社長は「小ロット生産も可能な機動力にも優れており、お客からのどんな要望にも応えられる加工技術を持っている。更に最新鋭の設備の導入だけでなく、資金を投じて搬送用コンベアラインなど数百㍍の大型製品を組み立てる専用工場も整備した」と説明したが、そこにこそお客のニーズや時代の流れを敏感に先取りして来たオギハラ工業の経営ノウハウがあることを改めて痛感した。

高品質の『モノづくり企業』として全国にもPR

オギハラ工業は現在70人の社員で、売上高は20億円を超える規模までに成長した。農業関連機械を中心に多品種な製品を生産している。ここ15年だけでも最新鋭も含め設備投資は数十億円に迫る。拓実社長は「地域の皆さんからは、オギハラと言えば、“スノーダンプ”と言われることも多い。確かに数年前の大豪雪ではスノーダンプは増産!増産!だった。豪雪地である地域の皆さんに愛される企業であり続けたいと思っている。と同時に今は農業関連機械を含めて顧客も全国におられ、これからも高品質・高性能・高信頼の生産技術を提供出来る企業として、全国に向けてもアピールしていきたい。

『スキマも満たし、人のチカラに』のスローガンもそうですが、社員一丸となってオギハラの伝統を守りながらも全国のお客から必要とされる企業として飛躍していきたい」と若い社長としての意欲を語った。結婚前は専門学校の講師を務めたこともあったが、今は伝統ある『モノづくり企業』の経営に日々邁進する拓実社長だ。

インタビューに応える5代目の荻原拓実社長

竜 哲樹(にいがた経済新聞顧問)
昭和25年新潟県上越市吉川区生まれ、新潟県立高田高等学校卒業。昭和48年3月富山大学文理学部卒業(教員免許取得)。元産経新聞社記者、元上越市議会議員。にいがた経済新聞社顧問。

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