【育児・介護休業法】テレワーク導入の課題をシェア 新潟県長岡市で企業向けセミナー
2025年10月、育児・介護休業法が改正され、育児期の柔軟な働き方を実現するための制度整備が事業主に求められるようになった。これまで努力義務とされてきたテレワークについても、3歳から小学校就学前の子を養育する従業員に対して、事業主は複数ある制度の中から少なくとも2つ以上を整備する義務を負うことになった。このため、テレワークを含めることが現実的な対応となっている。
一方で、人事・総務部門を中心に制度設計や運用面での負担が大きく、「制度を整えたものの運用が定着しない」といった課題も指摘されている。
こうした中、新潟県長岡市では、テレワークを事業戦略として活用する視点を学ぶ連続セミナーの第1回が12月16日、長岡市の米百俵プレイスミライエ長岡で開かれ、市内に事業所を持つ企業の担当者ら16人が参加した。

平日日中にも関わらず、参加者の多さが、問題意識の高さを物語った
セミナーは全2回の構成となっている。初回は「テレワークに向けた自社課題の明確化」をテーマに実施され、テレワークを単なる制度導入にとどめず、業務改善や人材育成、組織力強化につなげる方法を学んだ。
講師を務めた株式会社エム・エスオフィス代表取締役社長の若月一浩氏は、導入に向けた課題整理の方法や基本的な考え方を解説。効果的にテレワークを導入している企業の事例として、株式会社スタイルアーツの樋口剛琉(たける)AIビジネスデザインマネージャーを招き、同社におけるテレワーク運用の取り組みを紹介した。

すでにリモートワークを独自に実践しているという株式会社スタイルアーツの樋口剛琉マネージャー
後半はグループに分かれて意見交換会を行った。各グループで進行役と発表者を決め、参加者が検討した自社の課題や、テレワーク導入に際しての懸念点を順に発表。事業内容や組織規模の違いから生じる課題、現場の理解を得る難しさなどについて意見が交わされた。

各テーブル真剣な議論が交わされた
セミナーに参加したセイキプラントサービス株式会社総務部の松岡真由美さん(47)は「他社がテレワークや在宅勤務にどのように取り組んでいるのかを知りたかった。職場には、年齢的にアプリやシステムといった言葉に拒否感を示す人もおり、導入に当たって取り組むべき課題が多いことを知った」と話した。また、2017年からテレワークを導入しているアルプスアルパイン株式会社の洲﨑修長岡総務課長は「まずはやってみる。やらせる。慣れてもらうことが大切だ」と述べた。

「まだまだ課題は多い」と語るセイキプラントサービス株式会社総務部の松岡真由美さん
第2回は2026年1月14日に開催され、テレワーク導入に向け、各社の課題に応じた具体的な行動計画の作成に取り組む予定。
(文・写真 湯本泰隆)