【組織変革】個性を活かすインナーブランディングとは|関本大輔(株式会社アドハウスパブリック)#16
こんにちは。株式会社アドハウスパブリック代表の関本大輔です。
このコラムでは、「ブランディング」をテーマに、その本質や大切にしたい考え方について弊社の事例を交えながらお伝えしています。
今回のテーマは、「インナーブランディングの効果とは何か」です。
言葉としては広く知られるようになりましたが、「実際にどんな効果があるのか」「なぜ今、改めて必要なのか」については、まだ曖昧なまま語られているケースも少なくありません。
そこで今回は、私たちが現場で見てきた変化をもとに、インナーブランディングが企業にもたらす本質的な価値について整理してみたいと思います。
なぜ今、インナーブランディングの効果を伝えたいのか
背景にあるのは、働き方と価値創造の大きな変化です。
AIの進化によって、いわゆる「頭脳労働」と呼ばれてきた仕事の多くは、これからますますテクノロジーが担うようになっていくでしょう。
では、そのときに人が担う仕事とは何か。私はそれを、「クリエイティブ」だと考えています。
ここで言うクリエイティブとは、仕組みを考えること、やり方を生み出すこと、新しい事業を構想すること。つまり、まだ答えのないものを形にしていく力です。
こうした力は、指示待ちの状態や、自信を持てない環境からは生まれにくいものです。自分の個性や強みを理解し、「自分はここで力を発揮していいんだ」と思えてはじめて、発想やアイデアは動き出します。
これからの時代は、個人の能力の発露が企業の競争力になる時代です。そして、その個性をチームとして束ね、新しい価値を生み出していくために欠かせないのが、インナーブランディングだと私たちは考えています。
インナーブランディングがもたらす3つの変化
私たちの支援現場で見えてきたインナーブランディングの効果は、大きく3つの側面に整理できます。
1. 社員・個人の変化 ―「やらされ仕事」から「自分ごとの仕事」へ
インナーブランディングの起点は、社員一人ひとりの才能や強みを知ることです。
ストレングスファインダー®などを活用し、自分自身の特性を言語化していくと、多くの人がこう言います。
「自分は、これでよかったんですね」
不得意な部分を直すのではなく、得意な部分に光が当たる。その瞬間から、社員の表情や仕事への向き合い方が明らかに変わっていきます。
トップダウンで与えられた目標ではなく、ワークショップなどを通じて自分たちの言葉で会社の価値やビジョンを描くことで、仕事は「やらされるもの」から「自分がつくっているもの」へと変わります。納得感が生まれ、主体性が芽生え、自然と行動が変わっていくのです。
また、お互いの強みや弱みが見えることで、「なぜあの人はこうなのか」というモヤモヤが減り、心理的安全性も高まっていきます。
2. 組織風土の変化 ―対立から、挑戦と助け合いのチームへ
個人の意識変化は、やがて組織全体の空気を変えていきます。
よく見られるのが、
・対立や押し付けが減る
・コミュニケーションがスムーズになる
・「適材適所」で組織の骨組みが強固になる
といった変化です。
互いの個性を前提に会話ができるようになると、「誰が悪いか」ではなく、「どうすればうまくいくか」に議論の軸が移ります。その結果、思考の質が上がり、新しいアイデアや挑戦が生まれやすい土壌が育っていきます。
ビジョンや価値観が共通言語として浸透すると、チームのベクトルも揃い、一体感を持って前に進めるようになります。
3. 対外的な事業成果の変化 ―組織の内側は、必ず外ににじみ出る
インナーブランディングの変化は、やがて外部にも表れます。商品やサービス、Webサイトや広報の言葉に、「その会社らしさ」が宿るようになるのです。
自社の強みが明確になることで、価格競争ではないオンリーワンの価値が生まれます。実際に、売上や客単価の向上、顧客からの反応改善、採用や定着率の向上といった成果につながった事例も少なくありません。
企業を一本の木に例えるなら、インナーブランディングは、枝葉を整える前に土壌を耕し、根を育てる行為です。根が健全であれば、環境変化があっても、自然と良い実が育っていきます。
「動かない組織」を動かすために ― YeLLOWSという選択
こうした考え方を、より実践的に届けるために生まれたのが、私たちのサービス「YeLLOWS(イエローズ)」です。
YeLLOWSが向き合っているのは、
・人や組織が動かない
・新しい事業が生まれない
・正体のわからないモヤモヤが社内に漂っている
といった、多くの企業が抱える共通の悩みです。
経営層と現場の間にあるズレ、やらされ感、コミュニケーション不全。それらの多くは、「互いの能力や想いが見えていないこと」から生まれています。
YeLLOWSでは、個人の才能と組織の課題を可視化し、対話を通じてベクトルを揃えていきます。目指しているのは、単なる業績向上ではなく、「働くことが面白い」と感じられる状態。私たちが掲げる「WORK PLAYFULLY」の実現です。
おわりに
インナーブランディングは、特別な企業だけのものではありません。むしろ、これからの時代を生き抜くために、すべての企業にとって欠かせない土台づくりだと感じています。
人には必ず光る個性があります。その光を信じ、活かし合える組織は、自然と強く、しなやかになります。
今回のコラムが、皆さんの組織を見つめ直すきっかけになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
関本 大輔(せきもと だいすけ)
株式会社アドハウスパブリック代表取締役。新潟デザイン専門学校を卒業後、東京の出版社でデザイナーとして勤務。その後、父が設立した会社を継ぐため帰郷し、2013年に代表取締役として就任。
お客さまの本質的な課題解決につながるインナーブランディングと卓越したデザインで、さまざまな企業や事業のブランディングに携わる。過去1,000件以上の実績で、地域・業界を問わず評価されている。
米国ギャラップ社認定ストレングスコーチのほか、越後雪室屋ブランドディレクター・理事、新潟県6次産業化プランナー、新潟市異業種交流研究会協同組合理事長を務める。
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