【記者ノート】「オープンイノベーションコンテスト」、上越市内の企業経営者らが全国から集う学生や若手起業家らから各企業の課題解決への提案を受ける

 

全国の大学生らから各企業経営における課題解決に向け、事業モデルやアイデア提案を

上越商工会議所青年部が主催し20日、新潟県上越市のミュゼ雪小町を会場に『オープンイノベーションコンテスト』が開催された。具体的には、6社の若手企業経営者が全国の大学生や起業予定者ら7人のエントリーチームからテーマに対するプレゼンテーションや質疑応答という形で行われたもので、課題・提案は空き家の民泊活用やDXシステムの構築、防災用品の商売形態、ブライダル事業の婚礼数の増加、広報リクルート戦略、若者と企業が出会えるカフェの取組など幅広い課題テーマへの事業モデルやアイデアなどの提案を受けたものだ。

提案に当たっては、中でも4人の女子大学生らのユニークな提案に対する起業家や投資家からなる審査員や特別ゲスト(金融機関等)らの評価が高かった。なお、今回のイベントに参加した企業経営者は上越メンテナンス、上越ケーブルビジョン(JCV)、サトウ産業、大昭商事、リボーン、大島農機の6社であり、事前に各企業が持つ魅力や課題、ビジネスアイデアなどを公開し、その上で提案を受ける形で行われた。

 

「UPDATE JOETSU賞」(最優秀)は婚礼数増加対策への提案の神戸大3年大下紗智香さんに

最優秀の「UPDATE JOETSU賞」に選ばれたリボーン・シェトヤチームの神戸大3年の大下沙智香さんが審査員MCと受賞記念撮影
最後に提案発表者や審査員、スタッフら全員で記念撮影

各提案が中長期に持続可能な提案か、独自性やユニークさを持合せているか、実現可能性が高いかなどの観点から審査され、その結果最優秀賞の位置付け「UPDATE JOETSU賞」に、リボーンチームで年間婚礼数アップに向けた課題施策に提案した神戸大3年の大下沙智香さんが選ばれた。

提案の中で大下さんは「顧客獲得コストを下げるため人手もお金も掛けず、顧客が熱狂し自走する『集客エンジン』の仕組みを16歳から始め、10数年後雪室結婚式に若者が戻って来る」というアイデアなどを説明した。受賞理由について審査員の上越商工会議所青年部会長(大陽開発荒木克社長)は「満場一致だった。上越地域の雪室などの文化なども組込まれ、地域を盛り上げる内容となっている」と述べた。

その他の表彰では地域課題ソリューション賞にJCVチーム(市民参加企画)の京都大3年の今榮亜美さん、イノベーティブアイデア賞に上越メンテナンスチーム(若者と企業が出会えるカフェ)の同じく京都大2年の犬飼南菜さん、共感ストーリー賞に大島農機チーム(広報リクルート戦略)の立命館大4年の朝比奈侑里香さん、若者チャレンジ賞にはサトウ産業チーム(海外展開を見据えた多国籍人材との協働環境を促進するためのDXプラットフォーム開発計画)の千葉大4年の栗原藍斗さんなどが選ばれた(7人全員が各賞に)。

この取組は、市内若手企業経営者らが抱える課題などについて、全国から集う大学生や起業家(予定も)らから事業モデルやアイデアなどの提案を受け、中でも実現可能性の高い提案は発表者と相談のうえ採用の方向になることも。何よりも企業にとって提案などによる新たな技術や視点との出会いを通じて自社の可能性を広げる機会にしたいとする一方で、発表する若者にとっても各企業が抱える課題と向き合い、解決に向けたアプローチを通じて自身の学びと挑戦の場になることは間違いない。

それにしても今回のオープンイノベーションコンテストに参加する中で、改めて若者らの豊かな発想・着想、アイデアに驚きと感動を新たにした。

オープンイノベーションコンテストで、市内企業の課題解決のためのアイデア提案を各企業エントリーチームの大学生らが行うプレゼンテーション

各提案発表者のプレゼンテーションを真剣に見つめる審査員や特別ゲストたち

集合写真

竜 哲樹(にいがた経済新聞顧問)
昭和25年新潟県上越市吉川区生まれ、新潟県立高田高等学校卒業。昭和48年3月富山大学文理学部卒業(教員免許取得)。元産経新聞社記者、元上越市議会議員。にいがた経済新聞社顧問。

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