企業が知るべきAI活用とリスク管理 長岡市後援「にいがたAIラウンドテーブル」、AI安心活用実践セミナーを開催(新潟県長岡市 )

政府は2025年12月23日、初の「人工知能基本計画」を閣議決定し、「信頼できるAI」の実現と「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を目指す方針を打ち出した。官民が連携し、産業用ロボットとAIの融合、医療・介護、自動運転など、日本が競争力を持つ分野に重点を置き、AI活用を成長戦略の柱に据える考えだ。

一方、企業現場ではAI活用を巡る課題も浮き彫りになっている。日経BPの調査によると、生成AIツールの導入率は約64%に達するが、PwCによる5カ国比較では、期待を大きく上回る効果を実感している企業は約10%にとどまる。AI活用が進む企業もある一方で、知識不足のためか導入をためらう企業も多く、十分な活用に踏み出せていない現状もある。 セキュリティや倫理、ガバナンスの不安が、本格活用の壁として残っている。

こうした全国的な潮流の中、新潟県長岡市を拠点に、企業関係者や行政職員、学生、研究者らが立場を超えて集い、新潟県内のAI活用の課題や可能性を議論する場を設けているのが「にいがたAIラウンドテーブル」である。県内ではまだ数少ない取り組みであり、着実に注目度を高めている。産学官が連携し、地域におけるAI活用の基盤づくりを進めている。

同ラウンドテーブルは活動の一環として長岡市の後援を受けて、2025年12月17日、長岡市の米百俵プレイス「ミライエ長岡」内イノベーションサロンNaDeC BASEで「企業のためのAI安心活用 実践セミナー」を開催した。企業経営者やシステム担当者、自治体職員、学生ら約50人が参加し、AIリスクを正しく理解し、安心して現場に生かすための考え方や実践例を学んだ。年末の慌ただしい時期にもかかわらず、定員を上回る参加者が訪れ、会場は終始熱気に包まれた。

真剣に話を聞く参加者

冒頭では、長岡市商工部産業イノベーション課の門脇課長が挨拶し、地域におけるAI活用の重要性と、このセミナーへの期待を述べた。

前半の講義では、にいがたAIラウンドテーブルを構成する主要企業であり、新潟県内でAIの普及促進に取り組む株式会社スタイルアーツ、株式会社メビウス、AXコンサルティング株式会社の3社が登壇し、企業がAIを導入する際に不可欠となるリテラシーや情報セキュリティ、社内ルール整備の重要性について、基本的な考え方と実践のポイントを体系的に解説した。

続く事例紹介では、企業の取り組みとして株式会社ブルボン、行政分野での活用例として長岡市の事例が示され、導入時に直面した課題や対応策、成果が具体的なプロセスとともに共有された。

会場では頷きながらメモを取る参加者の姿も多く、熱心に学ぶ雰囲気が広がっていた。セミナー終了後には講師の周囲に参加者が集まり、個別の質問や相談が続くなど、実務的な関心の高さもうかがえた。

参加者からも手応えの声が上がった。長岡造形大学建築学科に在籍し、市内企業でインターンとして活動する大兼莉奈さん(23)は「生成AIは使っていたが、効果的な使い方ができていなかった。プロンプトを工夫する必要があると思っていたが、普通に会話するように使ってよいと分かり、すぐに試したい」と話した。株式会社メビウスの諏訪方暁さん(25)は「AIを導入する企業が増える中、ブルボンのように社内データを活用し、自社内で完結させている点が印象的だった」と語った。

もっと気軽にAIと会話して良いことがわかって安心したという大兼莉奈さん

 

ブルボンの事例が印象的だったと語る諏訪方暁さん

同ラウンドテーブルの主要企業として運営事務局も担うAXコンサルティング株式会社の上谷貴洋部長(52)は「参加者一人ひとりが真剣に耳を傾けており、現場が求めているテーマだったと感じた。今後も実践的なAI活用の学びの場を継続していくとともに、にいがたAIラウンドテーブルとしての取り組みもさらに広げ、新潟県全体のAI活用を後押ししていきたい」と話した。

「新潟県全体のAI活用を後押ししていきたい」と話す上谷貴洋部長

(文・写真 湯本泰隆)

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