【記者ノート】株式会社岩の原葡萄園髙岡社長インタビュー “日本のワインぶどうの父”川上善兵衛の想い受継ぎ、県産ワインの魅力を全国にPRしたい

岩の原葡萄園本社

岩の原葡萄園本社

 

髙岡社長を会長に県内の10のワイナリーが一堂に会し「新潟県ワイナリー協会」を設立

今年4月に新社長に就任した髙岡社長は約30年に渡り、サントリービールの生産・研究開発に携わって来た。岩の原葡萄園(上越市北方)へ赴任になるまでの4年間は、サントリーのワイン生産部にて、特に日本ワインの生産、ブランド刷新に携わった。髙岡社長は「岩の原葡萄園は日本のワインぶどうの父と謳われる川上善兵衛がマスカット・ベーリーAを生み出したワイン造りの先駆の地でもある。だからこそ、川上善兵衛の想いを受継ぎ、美味しいワインづくりに邁進したい」と意欲を語る。

そこで、以前から懸案だった県産ワインの認知向上・魅力発信と栽培・醸造能力の向上を目的に、多様性を持った県内の10のワイナリーが一堂に会して「新潟県ワイナリー協会」を12月10日に立上げた。その会長に髙岡社長が就いた。今年2月に東京でのトークイベントに参加するほか、3月上旬には新潟市でワイン試飲・販売会も予定している。更に、その後岩の原葡萄園などで栽培技術向上のための研修会も開くことにしている。

上越市北方にある岩の原葡萄園事務所前で立つ髙岡成介社長

 

10,000回を超える交配を重ねマスカット・ベーリーA等の新品種を生み出した川上善兵衛への誇り

「現在全国には500を超えるワイナリーがあり、数で言えば山梨県、長野県、北海道と続く。ただ、川上善兵衛は地元農家さんの生活を楽にしたいという想いで、1890年にこの『岩の原葡萄園』を開設した。しかし雨の多い上越の気候では、海外のぶどう品種では品質の良いぶどう、ワインづくりは難しく約30年間苦労を重ねた。その後約20年かけて、日本の気候にあった良質のワインを生み出すマスカット・ベーリーAなどの善兵衛品種と言われる優良品種を生み出したことから、まぎれもなく日本のワイン造りのルーツの一人である。私達岩の原葡萄園はその想い・志を受け継ぎ、誇りを持ってワイン造りを進めたい」と話す髙岡社長。

岩の原葡萄園創業者の川上善兵衛氏が育成した固有の黒ブドウ品種「マスカット・ベーリーA 」

 

地域に貢献し、地域に愛されるワイン造り

「川上善兵衛はワイン用ぶどう造りに関わる農家の人達を大切にし、地域とともにワイン造りに歩んだことを忘れてはならない。今に生きる私達も地域の人達からぶどうの樹の剪定、萌芽後の樹づくり、房づくりから収穫までの色々な段階でお手伝いを戴いている。昨年は収穫時に『収穫祭』のイベントも開催し、地域の皆さんとも収穫を喜び合った。またマスカット・ベーリーAは、2027年に生誕100年を迎えるので、地元はもちろん日本全国でマスカット・ベーリーAの栽培、ワインづくりをしている造り手の皆さん、日本ワイン好きの消費者の皆さんとも喜びを分かち合いたい」とも話してくれた髙岡社長。

「嬉しいことに現在日本では、ワイナリーの数も増え、日本ワインが注目を浴びている。地元上越、新潟、日本には豊かな自然に育まれた素晴らしい食文化があり、特にワインは食事とともに楽しむことで、豊かな気持ちになることも大きな利点であるので、その良さをもっとアピールしていきたい」とも付け加えた。

6.6㌶にも及ぶ岩の原葡萄園のワインぶどう畑

 

妙高のワイン造りにも協力

新しい取組では、岩の原葡萄園でも『委託醸造』に取組んでいる。妙高市の坂口げんき農場(妙高市坂口新田)とのコラボで、妙高ワイン『雪のひとかけら』(数量限定販売)を造っている。同地区では傾斜のある耕作放棄地でワイン用ぶどう造りを8年程前から始めたもので、約2.6㌶の耕作放棄地にワイン用ぶどうを植えた。栽培には岩の原葡萄園の技術者から様々なアドバイアスも受け、立派なぶどうが出来上がっている。そこで収穫されたぶどうを岩の原葡萄園の醸造場へ持って行き、妙高市限定の『雪のひとかけら』に仕上げている。髙岡社長は「良いワインは良いぶどうからと言われるが、品質が良く一定の生産量が確保出来なければ、委託醸造は難しい。ただ、農家の皆さん達がそういう意欲があれば、出来る限りで協力したいとは考えている」と前向きに捉えていることが伺えた。

本社敷地内にある雪室内部

 

竜 哲樹(にいがた経済新聞社顧問)

昭和25年新潟県上越市吉川区生まれ、新潟県立高田高等学校卒業。昭和48年3月富山大学文理学部卒業(教員免許取得)。元産経新聞社記者、元上越市議会議員。にいがた経済新聞社顧問。

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