【特集・男の悩み】「治療すべきか」迷う男性たち 相談しづらい「包茎治療」について専門家に聞く

メンズライフクリニック新潟院のカウンセラー・佐藤風雅さん

身近だが話しづらい「包茎」の悩み

人に打ち明けにくい包茎の悩みは、若者だけでなく中高年や高齢者にも及ぶ。見た目の問題にとどまらず、痛みや衛生面、結婚や介護など将来を見据えた不安を抱えながらも、「どの状態が治療の対象になるのか」が分からず、ネット上の情報だけでは不安を解消できない人も多い。

包茎の種類は主に「仮性包茎」「カントン包茎」「真性包茎」の3種とされ、「真性包茎」が最も重度とされる。

「真性包茎やカントン包茎の場合は、勃起時の締め付けが強くなり血流が滞ったり、性交時に痛みが出たりすることがあります」と説明するのは、全国に38院を展開する男性総合医療クリニック・メンズライフクリニック新潟院(新潟市中央区)のカウンセラー・佐藤風雅さん。特に真性包茎は衛生状態が悪化しやすく、「子どもをつくる際の障壁となる可能性もある」という。

一方で「仮性包茎」は比較的軽度とされ、佐藤さんは「仮性包茎は、医学的には特に治療の必要はありません」と話す。ただし、蒸れによる痒みや臭いを気にして治療を受ける人も少なくない。性器の状態は個人差が大きく、機能面に問題がなくても「他人と違う」という意識から、温泉や着替えの場、性行為で心理的な負担を感じ、そうした場面に消極的になってしまう人も多いのが実情だ。

佐藤さんは「術後のカウンセリングでは、包茎を治療して『積極的になれた』と話す人は多い」と話す

では、実際にどれほどの人が包茎に悩んでいるのだろうか。

インターネット上では、日本人男性の約7割が包茎だとする情報も見られる。しかし、こうした数字は調査方法や定義がまちまちで、統計的な裏付けに乏しいものが多く、正確な割合を示すことは難しいのが実情。

一方で、包茎や性器の話題は、若い男性の間では半ば冗談や話のネタとしてよく語られることも確かだ。お笑いコンビ・霜降り明星の粗品さんが自身のYouTube動画で包茎であることを明かしたほか、最近ではお笑いコンビ・マユリカの中谷さんがポッドキャストで包茎手術を受けたことを告白するなど、著名人の発信が共感を集める場面も増えている。

 

手術をためらう理由と治療現場の実情

株式会社NEXERとMSクリニックの調査によると、包茎手術を検討したことがある人の約7割が「包茎手術に保険が適用されるとしたら手術を受けたい」と回答した(NEXERのプレスリリースより)

こうした中、株式会社NEXERとMSクリニック(https://www.clairvoyancecorp.com/)が2025年5月、20歳代から60歳代の男性367人を対象に行った調査では、6.0%が「包茎手術を考えたことがある」、2.7%が「実際に手術をしたことがある」と回答した。約1割弱の男性が手術を検討するほど悩み、そのうち約3割が実際に行動に移している計算になる。35人に1人以上が手術を受けていると考えると、決して珍しい選択とは言えない。

同調査では、包茎手術を考えたことがある人の72.7%が「包茎手術に保険が適用されるとしたら手術を受けたい」と回答した。理由としては「代金が高くて踏み切れない」「少しでもかかる費用を抑えられると嬉しい」といった声が多く、経済面が大きなハードルになっていることがうかがえる。

しかし、包茎治療を保険適用で受けられる病院は、真性包茎に限られるケースが多いことはあまり知られていない。前出の佐藤さんは「カントン包茎であっても『包茎ではない』として治療を断られることがあります。大きな病院でも包茎治療の経験がある医師は少なく、手間や採算の面からも敬遠されがちなのが実情です」と解説する。複数の病院を受診した末に、専門クリニックへ辿り着く人も少なくないという。

カウンセリングをする佐藤さん

メンズライフクリニック新潟院の手術室

さらに、病院と自由診療のクリニックでは、術後の仕上がりにも差が出る。保険適用の手術は生活に支障が出ない最低限の処置にとどまるため、包皮の切除部分に傷跡が残り、そこを起点に皮膚の色の差が目立つ。「包皮を切れる範囲は限られているため、最初の手術結果を後から修正しようとすると、皮膚の突っ張り感が出る場合があります」と佐藤さんは指摘する。

先ほども提示したNEXERとMSクリニックの調査では、費用面で手術をためらう人が多かった一方で、「費用と仕上がりについて、どちらを優先するか」という質問に対し、包茎手術を検討した人の81.8%が「保険適用外(自由診療)で費用は高くなるが術後の仕上がりが綺麗な方が良い」と回答した。

包茎治療は人生で一度きりになる可能性が高く、病院か専門クリニックかという選択は慎重に考える必要がある。

 

年代を問わない悩み、判断の鍵は正しい理解と相談

手術をためらう理由として一番に挙げられるのが「痛みへの恐怖」だろう。佐藤さんによると、麻酔を用いるため手術による痛みはないが、術後に出てくるという。包皮を切除したことによる切り傷のような痛みで、個人差はあるがピークは1日から2日後、完全に痛みが引くのは1週間から2週間ほど。しかし、痛み止めを処方するためそれほど深刻に考える必要はない。

包茎の悩みは、異性との関わりが増える若い世代に多く、メンズライフクリニックでも10歳代から30歳代が利用者の約6割を占める。「同僚や友人との会話で『自分だけ違う』と感じたり、パートナーから指摘されたりするケースが多い。結婚を意識したことをきっかけに相談に来る人も目立ちます」と佐藤さん。

一方で、中高年や高齢の患者も一定数いる。尿道カテーテルを挿入しにくいといった医療上の理由や、入院や介護により身体を洗ってもらう場面などで家族や看護師に世話をかけたくないという思いから、治療を検討する人もいるという。

もう一点、手術を検討している人の多くを悩ませるのが「家族や知り合いにバレたくない」「恥ずかしい」といった点だ。メンズライフクリニックをはじめ多くの専門クリニックでは男性スタッフを配置し、相談・カウンセリングは人目につかない個室で行う。

知人や家族には相談しにくく、症状も人によって異なるため、ネット上の情報だけでは判断しきれないのが包茎の難しさだ。佐藤さんは「仮性包茎でも『必ず治さなければならない』と思い込んでいる方がいますが、そうとは限りません。逆に、自分では仮性包茎だと思っていても、診察すると軽度のカントン包茎だったケースもあります」と話す。多くのクリニックでは相談を無料、もしくは低額で受け付けており、不安を解消する第一歩として専門家に相談する意義は大きい。

また、保険適用外となるため手術費は高額になるものの、診察や説明を経て合意に至れば、カウンセリング当日に手術まで行い、通院を必要とせず1日で完了するケースが多いという。「家族にバレたくない」「痛いのではないか」という不安を抱える人は多いが、意外にもその点のハードルは低い。佐藤さんは「手術後に『もっと早く受けておけばよかった』という声を聞くことは少なくありません」と話す。

包茎はデリケートな問題であるがゆえに、悩みを抱えたまま一人で判断してしまいがちだ。しかし、症状や感じ方は人それぞれで、治療の必要性も一概には語れない。正しい知識を得たうえで、自分にとって何が最善かを考えることが重要だろう。

<参考資料>
PRタイムス「【20代~60代の男性に調査】包茎手術を考えたことがある約7割が「保険が適用されるなら手術したい」株式会社NEXER・包茎手術における保険診療の認知度に関する調査

メンズライフクリニック「日本人の約7割が仮性包茎って本当?治す必要性や手術について徹底解説」

 

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