【記者ノート】古田組代表取締役インタビュー「売上のみを追求せず、少数精鋭で規模に合った堅実経営で次の時代へと継続する。地域に愛される会社目指して」との想い

上越市柿崎区百木にある株式会社古田組の本社や倉庫など
頸北地区の土木事業中心に基盤整備120年、平成9年から埋蔵文化財事業(遺跡発掘も)
明治39年11月に上越市柿崎区百木で工事請負事務所を創業して本年で120周年を迎える。まさに明治・大正・昭和・平成・令和と頸北地区の土木事業を中心に橋梁・道路・河川・鉄道・土地改良(農地)・砂防・ダム建設等の基盤整備事業などの歴史を刻んで来た。5代目社長の孝一氏は「売上のみを追求するのではなく、地域のためにコミュニテイーを重視し、地域に愛される企業に徹しながら、信用を重んじ、地域に密着した工事を請け負って来た。これまでも少数精鋭な会社作りをして来たが、これからも人口減少に合わせて規模に見合った経営が求められており、少数こそならではの迅速かつ変化に対応出来ることが会社の継続に繋がって行く」と語り、将来を見据えて堅実経営を目指している。
社長就任前後の平成25年7月に新社屋を完成させたが、「あくまでも各現場事務所が仕事の中心と考え、新事務所は小さい平屋ではあるが、規模に見合った使い勝手にこだわり、空調設備を重点に設計し、居心地の良い事務所にした」とも話している。
なお、平成27年4月にソーラー事業も開始しており、柿崎区内8カ所で行っており、年間1500万円程発電している。また、同社は平成9年から埋蔵文化財支援事業の遺跡発掘部門にも関わり、一時年間受注額も7%~29%も占めていたこともあったが、当時平成11年に遺跡調査部を設置し、北陸新幹線及び魚沼高規格道路(上越三和道路)建設に伴う発掘調査事業を行ってきた(県内16カ所余りで)。現在は受注はほとんどないが、貴重な文化財の調査活動は継続していくとしている。

インタビューに応じる株式会社古田組の5代目社長の古田孝一氏
4人の子供たちも古田組を強力にバックアップ
今、古田組で4人の子供達が社長を支えている。同社常務の長男(37)は大学卒業後、県内ゼネコンで修業をして経営全般に携わっている。次男(33)は大手ゼネコンで働いて来たが、古田組に入って後も同ゼネコンの仕事も受けており、次男の妻は今も同ゼネコンに席を置いて同ゼネコンの仕事を続けている。三男(30)も取締役として現場の責任者として父である社長をバックアップする。長女(35)も資格取得しバックオフィス業務に携わっている。「4人の子供達が会社を支えてくれることは嬉しいし有難い。でもこれまで古田組の屋台骨を作って来た先代従業員を始め、現在支えてくれる現従業員のお陰で今日の古田組があることを決して忘れてはならない」と話し、どこまでも従業員想いの孝一社長である。
原発の避難路整備やシェルター化の仕事も、産業廃棄物最終処分場整備の工事取付道路も
上越市柿崎区は東京電力柏崎刈羽発電所からは30キロ圏内のUPZエリアにかかる。同発電所も既に再稼働し、3月18日には営業運転に入る見込みとなっている。孝一社長は「私どもの仕事面で考えると、原子力災害時の住民避難を円滑にする避難路(原発を中心として6方向へ)整備がある。更に原子力災害時の緊急避難のためのシェルター化もある。こちらは1カ所2億円で50カ所100億とも聞いている。詳しいことは分からないが、いずれにせよ仕事はあっても、万一の場合は原発被害が私達柿崎区にも直接及ぶことへの懸念もある」と正直に心配する孝一社長である。もう一つ大きな県環境保全事業団が計画するプロジェクトがある。
柿崎区の竹鼻から下中山での整備が計画される産業廃棄物最終処分場の建設整備である。現在測量などが行われており、今後整備が進められることになるが、それにはまずは整備工事用の取付道路建設も来年度から開始される予定だ。その他、過疎・少子化に伴う地元の小学校統合に伴う改修建設工事なども予定されている。
「土木工事に関わる建設原材料(骨材や生コン等)の高騰に対する国の対応強く求めたい」 次世代(長男・孫)への事業承継計画書も作成

県営ストマネ 赤川地区排水路工事

下小野中沢 砂防堰堤工事
土木・建設事業において現在一番懸念されるのが、建設に関わる事業単価の増加の課題であり、具体的には重機に始まり骨材や生コン、セメントなどの高騰で利益を生み出すことが大変厳しい状況にある。同社長は「我が社では業界全体の人手不足と共に、建設機械や土木工事材料の高騰が続いており、大変心配している。下請けの会社にあまり迷惑をかけられないし、私ども地方の建設業者は異常気象に伴う集中豪雨や大豪雪、地震などの災害対応においては絶対必要な業種であることから、売上重視から適正利益の確保への経営に努力を重ねているが、材料高騰に対して何とか国の力でしっかりと手当てして欲しい」と改めて強く訴える。
なお、孝一社長が就任した平成24年前後には事業継承をスムーズに行うとともに、また同時に次世代(長男・孫)への承継についても改めて事業承継計画書を作成し、更なる事業継承を目指している。
竜 哲樹(にいがた経済新聞顧問)
昭和25年新潟県上越市吉川区生まれ、新潟県立高田高等学校卒業。昭和48年3月富山大学文理学部卒業(教員免許取得)。元産経新聞社記者、元上越市議会議員。にいがた経済新聞社顧問。
