孤立を防ぐ鍵は「地域の出番」 ひきこもりセミナーが長岡で開催

ひきこもりは特定の家庭や個人だけの問題ではなく、「誰にでも起こりうる」社会課題として認識が広がっている。内閣府が2023年3月に公表した2022年度調査によると、15~64歳で6カ月以上ほぼ自宅にとどまり社会参加を避けている「広義のひきこもり」状態の人は全国で約146万人と推計される。生産年齢人口のおよそ50人に1人に当たる規模だ。

きっかけは、不登校や退職・失業、人間関係のトラブル、病気、インターネット依存、新型コロナウイルス禍の影響など多岐にわたる。コロナ禍を要因に挙げた割合は約2割に上る。とりわけ中高年層の長期化が課題となっており、40代は約25万人、50代は約30万人との試算もある。親が80代、子が50代となる「8050問題」との関連も指摘され、親子共倒れのリスクが高まっている。

こうした現状を踏まえ、当事者や家族、支援関係者らが地域とのつながりの再構築を模索する「ひきこもりと地域のつながりセミナー」が2月5日、アオーレ長岡B・Cホールで開かれた。支援の実践事例の共有と対話を通じ、孤立を防ぐ地域づくりの在り方を考えた。

長岡市、十日町市、富山市の各実践団体が登壇した

冒頭では、全国で推計約146万人に上る現状が紹介され、ひきこもりは「特別な誰か」の問題ではないとの認識が共有された。背景は多様であり、長期化や中高年層の増加が深刻化していることも示された。

当日は、UNE代表理事の家老洋さん(長岡市)、はぐれ雲理事長の川又直さん(富山市)、フォルトネット代表の関口美智江さん(十日町市)が登壇。各地域で進める居場所づくりや就労支援、家族支援の取り組みを報告した。

発表では、支援を「特別な施策」として囲い込むのではなく、地域の中で役割や出番をつくることの重要性が強調された。家族、行政、民生委員、支援団体が顔の見える関係を築き、情報を共有しながら伴走する体制づくりが不可欠との認識で一致した。

参加した社会福祉士の永井磨澄さんは、合宿型の支援事例に強い関心を示した。「ひきこもっている人たちをどうやって合宿という形に持っていくのか、もう少し詳しく聞いてみたい」と話し、支援の具体的な手法への関心を寄せた。

ひきこもりを個人の問題として切り離すのではなく、地域全体で支える仕組みをどう築くか。長岡から、その問いへの模索が続いている。

(文・写真 湯本泰隆)

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