【今読んで欲しい3冊】書店員が選ぶ「2026 本屋大賞」ノミネート作品からおすすめ本(提供:ジュンク堂書店新潟店)
ジュンク堂書店新潟店(新潟市中央区)の書店員が選ぶおすすめ本「3月号」。今回は「2026 本屋大賞」ノミネート作品の中から、ジュンク堂書店新潟店の文芸書担当・山田明美さんおすすめの3冊をご紹介します。

今年も本屋大賞の発表が近づいてきました。本屋大賞は本と読者の一番身近にいる私たち書店員の投票によって決定しています。受賞作は毎年大きな話題になりますが、そのノミネート作品も書店員が売りたい、売れてほしいと思う書籍ばかりです。
今回はそんなノミネート作品の中から3冊ご紹介いたします。
今回の記事を読んで興味を持たれた方は是非、他のノミネート作品も手に取っていただき、大賞を予想しながら発表を楽しみに待ってもらえたらと思います。
【熟柿/佐藤正午 KADOKAWA】
轢き逃げ事故を起こし収監され、身籠っていた子を獄中で出産したかおり。警察官の夫には離婚を突きつけられ、子どもにも会わせてもらえない。出所をしても一人。悪いことはしていないのに、なぜか住処を追われ続ける。いつか子どもに会えることを願いながら、かおりは懸命に生きていく。罪を犯し、償い、もうなにも咎められることはないはずなのに、こんなにも辛いことしか起きないなんて。読み進めるごとに私の気持ちは沈んでいくが、かおりは歩みを止めない。いつかきっと報われる日がくると願いながら私もページをめくる。「熟柿」とは、熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと。一生懸命なかおりの元に、熟れた柿は落ちてくる。かおりが生き続けてくれたからこそ、私は幸せな気持ちで本を閉じることができたのだ。かおりに感謝を伝えたい。
【イン・ザ・メガチャーチ/朝井リョウ 日経BP 日本経済新聞出版】

「推し活」という言葉はもっとひっそりとしてはいなかっただろうか。見渡す限り誰かの推しというような現代において、道を間違えぬよう手助けをしてくれる可能性を持つ。主人公の三人は私であり、世の人々であり、誰もがどの状況にも陥り得る。流れに乗り、乗せられ、推しを見つめるのは、忙しい日々を忘れるほど楽しい。最高のパフォーマンスの裏には、もしかしたら本書に出てくるような悪どい運営もいるかもしれない。自分は何を信じるのか。ふとしたときに振り返りたくなる一冊。
【失われた貌/櫻田智也 新潮社】

思ってもいない結末が最後に待っている。山奥から見つかったのは、個人情報の特定がすぐできないよう、顔も手も歯も髪も失った遺体。なぜそんなにも乱暴に扱われなければいけなかったのか。なぜ犯人は被害者の個人情報を隠したがったのか。事件の発覚から解決まで一週間。仮定がいとも簡単に返され、真実へじわりじわりと近づいていく。この世界で一番強いものは子を守りたい母の気持ちなのかもしれない。事件の解決だけでは終わらない警察小説。
【グーグルマップ ジュンク堂書店 新潟店】
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