【地域プレイヤー×イオン】個人事業主や小規模事業者もイオンに出店できる「きら星 県央 KaNaU」オープン

イオン県央3F「きら星 県央KaNaU」
地方移住支援や地域雇用創出、空き家活用など多様なまちづくり事業を展開するきら星株式会社(湯沢町)が、燕市のイオン県央店内にインキュベーション拠点「きら星 県央KaNaU(かなう)」を開設した。日本最大級の小売・流通グループであるイオングループの総合スーパーブランドに小規模事業者が出店できる、新たな糸口となる。
地域のプレイヤーがイオンに出店できる新システム
2月24日にイオン県央店に誕生したテナント「きら星 県央KaNaU」(以下KaNaU)は、個人事業主や副業層が出店できるチャレンジスペース、最大20人収容可能な貸し多目的会議室、そしてきら星の県央オフィスの3つの機能が備わっている。
チャレンジスペースは、月額1万円~で週1回3時間半借りることができる2区画が用意されている。地域プレイヤーに開かれた場所として、ネイルサロンなど許可を必要としないサロンやスクール、ヨガやベビーマッサージ、占いなども契約可能。手芸用品店が隣接しているテナントなので、特にハンドメイド作家などにはうってつけのロケーションと言える。

▲チャレンジスペース
貸し会議室はネット上で予約ができる使い勝手の良いシステムを採用。県央エリアにはこのような貸し会議室が少ないため、地元はもちろん出張者からも重宝されそうだ。また館内にはスーパーや飲食店もあるので、会議の備品調達や食事にも事欠かない。

▲貸し会議室 Wi-Fiやプリンターを完備。
イオン県央館内ということで駐車場も豊富にあり、さらにJR燕三条駅から徒歩10分の距離と、アクセスの良さも魅力の一つとなっている。
まちづくり会社の新規事業展開
KaNaU開設にあたり、伊藤綾きら星代表取締役は「個人事業主やスモールビジネスをしている法人がイオンにテナントとして入居するには、審査や保証金など非常にハードルが高いです。でもKaNaUの中ならば出店することができる。ここで事業を成長させて館内の別テナントに入居するなど、利用者の事業拡大に繋がっていったら」と地域のプレイヤーのステップアップの場となることを目指す。

きら星株式会社代表取締役伊藤綾氏。現在の用途に加え、将来的にはKaNaUで仕事や移住の相談が常態的に行われることを期待
これまで移住支援や地域雇用創出などの事業を中心に展開してきたきら星にとって、商業施設内でのテナント運営は新たな業態への挑戦になる。
実は伊藤氏は、2019年にきら星を起業する前はイオンモール株式会社に勤めており、出店の現場に携わっていた。だからこそ、地域のプレイヤーがイオンに出店することが難しい実情と、同時にイオン側が彼らと接点を求めていることも認識していた。「地域のプレイヤーを引き上げてイオングループのリーシングの間を取り持ち、その事業が育ち、広い区画に移る。そういった『場所をつなぐ』展開を今後も考えています。弊社の拠点に近い六日町や長岡にもイオンがあり、この春には弊社に不動産事業の子会社ができます。不動産仲介業のビジネスモデルを作っていきたいですね」(伊藤氏)
KaNaU開設記念イベントで“街へダイブ”する実践的
2月24日にはKaNaUオープンを記念して、開設記念特別セッションのイベントが同所で開催された。
「知り合いゼロからの立ち上げ!仕事人から学ぶ『街にダイブ』する方法」と題し、伊藤氏と同社取締役で建築士の熊谷浩太氏が登壇。会場にはKaNaU出店をすでに決めている会員から地域のファミリーまで、幅広い参加者が集った。

開設記念特別セッションの様子
柏崎市出身の伊藤氏と東京から三条市に移住した熊谷氏、共に現在拠点を置く湯沢町・燕三条エリアには知り合いがおらず、お互いの来歴を交えながら、地域に根付き、仕事につなげていった手法を紹介。
「街にダイブ」とタイトルにもあるように、両者ともに共通した地域に溶け込みネットワークを広げる方法として、積極的に外に出て「キーマンに会うこと」と「何度も自分が何者で、何をしたいかを伝え続けること」を挙げた。

▲熊谷氏(写真左)と伊藤氏(写真右)。
伊藤氏は飛び込みでキーマンやプレイヤーに話をしに行ったり、想いを綴った瓦版を手配りやポスティング、熊谷氏はラジオ出演やセミナー開催などサブリミナル的に発信をしていくことを続けたそう。必ずしもうまくいくわけではないが「街にダイブして、人とたくさんつながって会話をして開拓していくと、街の景色はどんどん変わっていって、その連鎖が起こる。失敗の数だけ成功できると思うし、途中で諦めずに何度もトライする」(伊藤氏)
「スナックにも飲みにいったり、地域行事に参加したり、トライアンドエラーを繰り返しながら地域の一員だと認めてもらうことが大事」(熊谷氏)と、表には見えにくい地道なコミュニケーションの積み重ねに、参加者からは驚きの声が漏れた。

▲2022年に三条市に移住し、2025年からきら星に参画している熊谷氏。伊藤氏は熊谷氏をきら星に声をかけた理由の一つに「自分で宣言したことを続ける継続性がある人」を挙げた。
質問タイムには、会場から「ダイブする際に自分のことをどれだけ分析したか」「地域に知ってもらうためにどれくらい自分のリソースを使ったか」など、まさにこれから街にダイブする活動をするゆえの具体的なアドバイスが求められた場面も。

▲イベントに参加した上越にある全国初の広域通信制高校サポート校の松本将史先生。KaNaUで教室を開くことが決まっている。今回のイベントでは同校のカリキュラムを求める参加者がつながるきっかけにもなった。

▲「自分たちのイベントに来てくれと言うだけではなく、相手のところにも飛び込んだり、相手の活動を応援することで信頼関係が醸成される」(伊藤氏)
「この拠点『KaNaU』は、皆さんの『やりたい』を叶えるコンセプトでオープンさせたので、参加者の皆さんがその小さな触媒になっていただけたら嬉しいです。ここから皆さんと物語を作っていければいいなと思っているので、住みたい街を作る仲間を一緒に増やして実現していきましょう」と伊藤氏から呼びかけられ、終了後も会場は同所の利用や活動の情報交換など参加者同士の交流で賑わった。
地域プレイヤー×イオンという新しいビジネスモデルが、意欲あるプレイヤーたちの掘り起こし及び成長の道標の一つとなりうるのか。現在新潟県も起業・創業促進の方針を打ち出しており、新潟の活力につながることを期待して、今後のKaNaUの成果と展開に注目したい。
■きら星 県央KaNaU概要
住所:新潟県燕市井土巻3-65 イオン県央店 3階
電話番号:050-1794-7418
<チャレンジスペース>
・利用募集区画:区画A(約14.25㎡)、区画B(約12.06㎡)
・利用料金:平日:10,000円/月、土日:15,000円/月(※週1回利用の場合)
・利用時間:①9:00〜12:30 / ②12:30〜16:00 / ③16:00〜19:30
・付帯設備:会議室(約35㎡)、Wi-Fi、プリンター、物販スペース(予定)
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