【学生がAIで課題解決】新潟大学でGPTsコンテスト「「Future Makers GPTs Challenge」を開催 最優秀は「SAマッチング」

新潟大学GPTs制作コンテストが開催

新潟大学は3月27日、学生が生成AIを活用して制作したツールを発表するコンテスト「Future Makers GPTs Challenge」を同大中央図書館で開催した。学生が独自に開発したGPTs(カスタムAI)を用い、学内外の課題解決を目指す取り組みで、今回が初開催。学部生から大学院生まで25チームが応募し、選考を通過した10チームが本選に出場した。会場とオンラインのハイブリッド形式で実施され、審査員評価と観客投票を踏まえて各賞が決定された。

各賞のうち最優秀賞には、「SA(スチューデント・アシスタント)マッチングシステム」を発表した「NICEなAI班」の4人が選ばれた。同システムは、学生と学生アシスタント(SA)とのマッチングをAIが支援する仕組みで、学習支援のニーズと指導側のスキルや条件を整理し、最適な組み合わせを提案するもの。

従来は個別のやり取りや属人的な判断に頼る部分が大きかったが、AIを活用することで効率化と質の向上を両立させる点が評価された。学内の学習支援体制の強化につながる実用性の高い提案として、審査員・観客双方から支持を集めた。

新潟大学の学長など6人が審査

同コンテストは、同大が進める生成AI教育の取り組みを学外に発信することが狙い。大学では教育用のChatGPT環境を導入し、学生と教職員が安全に活用できる体制を整備している。

こうした取り組みの一環として、単にAIを利用するだけでなく、課題解決のために設計・実装する力を養うことを目的に同コンテストが企画された。大学側も、AIは利便性の高い道具にとどまらず、「何のために使うか」「社会にどう生かすか」を主体的に考えることが重要だと位置付けている。

発表では、学生生活に密着した実用的なツールから、地域課題に踏み込んだ提案まで幅広いテーマが並んだ。履修計画の自動生成や進級・卒業要件の確認を支援するシステムは、複雑な制度を分かりやすく可視化し、学生の不安軽減や学習計画の効率化につなげる内容。数学学習支援ツールでは、理解度に応じて段階的に解説を提示することで、挫折しやすい分野の学習継続を後押しする仕組みが示された。

一方で、地域課題をテーマとした発表も注目を集めた。佐渡市の歴史的まちづくりを支援する提案では、古写真や住民の記憶といった蓄積データをAIで整理し、修繕や景観保全に必要な情報を抽出する仕組みを提示。人口減少や担い手不足が課題となる中、行政の業務負担軽減や地域資源の活用促進につながる可能性が示された。また、建築物を分かりやすく解説する観光向けAIガイドや、学生の将来設計を支援するキャリア支援ツールなど、体験価値や意思決定を支える活用例も見られた。

大学におけるSA(スチューデント・アシスタント)のマッチングシステムについてプレゼンする「NICEなAI班」

最優秀賞を受賞した「NICEなAI班」

審査では、社会課題への着眼点やアイデアの独創性に加え、実現可能性や将来的な展開性が重視された。審査員からは、学習支援ツールについて「理解できている点と不足している点を可視化することで学習意欲を高める」と評価する声や、地域向け提案に対して「社会実装の可能性を感じる」といった指摘があった。単なる発想にとどまらず、実際の利用場面を想定した設計が評価の分かれ目となった。

閉会にあたり、新潟大学の染谷俊幸学長は、今回の発表を振り返りながら、AIとの向き合い方について言及した。染谷学長は「AIは非常に速く、多くの情報を扱える便利な技術だが、それだけに目を向けるべきではない」と指摘。その上で、「自分の言葉や発信が相手にどのような影響を与えるのかを考えることが重要だ」と述べ、技術の活用に伴う責任や倫理的な視点の必要性を強調した。

参加した学生からは、「これまでAIを使うことに後ろめたさを感じていたが、発表を通じて新しい活用の価値を示すことができた」「身近な課題から社会課題まで、AIで解決できる可能性を実感した」といった感想があり、今後さらなる技術への理解と主体的な活用意識の広がりが見込まれる。

コンテストの講評を述べた新潟大学の染谷俊幸学長

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