長岡発PhoenixRobots、米国のロボット大会で世界一 ライバルの助けも力に、技術と精神力で頂点
長岡技術科学大学や長岡工業高等専門学校、新潟大学などの学生でつくるロボットチーム「PhoenixRobots(フェニックスロボッツ)」が、米国で開催された国際ロボット大会「ARC Championship」の「エンジニアチャレンジ」で優勝した。
PhoenixRobotsは、長岡技術科学大学、長岡工業高等専門学校、新潟大学などの学生約50人が主体となり、地元企業の支援を受けながらARC ChampionshipやRoboMasterなどのロボット競技の世界大会に挑戦している。活動拠点は長岡新産業創造センター。
大会中には機材トラブルに見舞われたが、競合する米国チームからケーブルを借りて競技に臨んだ。海外チームとの交流や開発の試行錯誤を重ねてつかんだ世界一を、メンバーは喜びとともに振り返った。

Phoenix Robotsの活動拠点である「ながおか新産業創造センター」
5チームの頂点に
大会は6月28日から7月5日まで、米国インディアナ州ラファイエット市のPurdue Memorial Unionで開催された。日本、米国、カナダ、イタリア、英国から25チームが参加し、3つの競技種目で技術力を競った。
PhoenixRobotsは「エンジニアチャレンジ」と「1vs1」に出場。「エンジニアチャレンジ」では5チーム中1位となり、優勝を果たした。「1vs1」では25チーム中12位となった。
エンジニアチャレンジは、制限時間4分間で1台のロボットがフィールド上のブロック(鉱石)を最大3つ回収し、指定された受け皿に配置して得点を競う競技。3回の挑戦のうち、スコアの良かった2回の平均点で順位を決める。
「優勝できたことがうれしい」
大会を終えたメンバーの一人、渡邊巧望さん(21)は「率直に優勝できたことがうれしい」と振り返った。また、松山悠大さん(23)は、大会の雰囲気について、他の大会とは違い、参加者が「ワイワイしている感じがあり、楽しかった」と振り返った。
今回、渡邊さんは自身が設計した機体でデザイン賞も受賞。「自分が設計した機体に、そういう賞をいただけて非常にうれしい」と喜びを語った。
一方で、今回の成果については自分一人の力ではないと強調。「メンバーが機体を設計したり、制御したりしてくれて、できたこと」とチームメイトへの感謝を口にした。
渡邊さんは「支援いただけていなかったら、そもそも大会に出られていなかった」と話し、支援者だけでなく、助けてくれた他チームにも感謝した。
ライバルチームからケーブル 「支援がなければ大会に出られなかった」
世界一への道のりでは、思わぬトラブルも起きた。大会中、コントローラーと操作用パソコンをつなぐケーブルに問題があり、使用できない状態になった。競技を目前に「やばい」となったものの、救いの手を差し伸べたのは競合相手だった。
米国のチームからケーブルを借りることができ、無事に競技へ出場。大会中のトラブルを経験した三嶋倫太郎さん(21)によれば、「一時はどうなるかと思ったものの、気持ちを切り替えて競技に臨んだ」という。

PhoenixRobotsのメンバー。左から三嶋 倫太郎さん、渡邊 巧望さん、松山 悠大さん、丸山 工太郎さん
海外チームの「違う発想」に刺激
海外チームとの交流も、今回の大会で得た大きな経験だった。渡邊さんは、「米国や中国のチームについて、日本のロボコンとは設計の考え方や機体の組み方が異なっていた」と振り返る。なかには、3Dプリンターで柔らかい素材を使い、軽量化を重視した機体を製作するチームもあった。
特に印象に残ったのがイタリアのチーム。デザイン性を意識した機体で、見た目もスタイリッシュだったという。同じルールの中でも、各チームが異なる発想で機体を設計していることに触れ、「面白い組み方だったり、そういうふうにデザインするんだなという面白さがあった」と振り返った。
PhoenixRobots自身も、機体の設計で新しい試みに挑戦した。渡邊さんによると、アームにはカーボンパイプを使用し、これまであまりなかった組み方を採用。細かな部分にも工夫を凝らした。
さらに、独自に設計したコントローラーとアームを連動させ、操作者の負担を減らす制御にも力を入れた。本番では操作者に大きなプレッシャーがかかる。そこで、できるだけ操作する人に依存しない仕組みにし、誰が操作しても一定の水準で動かせるような制御を目指したという。
「動かして、変えて」を繰り返す
制御の開発では、試行錯誤に多くの時間を費やした。開発を担当した三嶋さんによれば、まず制御値を設定して実際にロボットを動かし、想定した動きと実際の動きに違いがあれば値を変更し、再び動かす作業を繰り返したと説明。このPDCAサイクルを回す作業が「多分一番時間が取られた場所」だったという。
加入間もない丸山さん、次の大会へ
今回の大会には、チームに加入して間もない丸山工太郎さん(16)も参加した。
大会について「すごく勉強になった」「すごく新鮮な体験ができた」と振り返り、次の中国大会では「自分が活躍するように開発していけたら」と意欲を示した。
一方、修士2年のメンバーからは、今回の大会を通じて後継者を育成できたことへの喜びも聞かれた。自身は運営面を担いながら、最終学年でこうした賞を得られたことについて「良かった」と振り返った。
大会後は、メンバーは長岡市役所を訪れ、磯田長岡市長に結果を報告した。その際、市長から機体について「かっこいい」と評価されたことを振り返り、メンバーは「非常にうれしかった」と話した。
米国での世界一は、機体の性能だけでなく、メンバーの技術力、予期せぬトラブルを乗り越える精神力、そして周囲からの支援が重なって生まれた。大会で得た経験を糧に、次の中国大会に向けた準備を進めている
(文・写真 北条隆士)

2台のロボットでエントリーした