部活動の不適切な指導「我慢すべき」生徒の28.6% 県教委が根絶宣言と再発防止策
新潟県教育委員会は10月23日、2024年6月に県立高校の生徒が自死した事案を受け、部活動での体罰や暴言、ハラスメントなどの不適切な指導をなくすための「不適切な指導根絶宣言」と再発防止策を発表した。あわせて公表した実態調査では、試合に勝ったり記録を伸ばしたりするためには不適切と感じる指導を「我慢すべき」「どちらかといえば我慢すべき」と答えた生徒が28.6%、保護者が10.5%に上った。
この事案をめぐっては、県いじめ防止対策等に関する委員会が今年4月、県教委に調査報告書を提出した。報告書は、亡くなった生徒が所属していた部活動での教員の指導を主なきっかけとする死亡事案(いわゆる「指導死」)と判断し、部活動指導者の責務、学校のガバナンス、相談体制の整備の3点について提言していた。
実態調査は5月20日から6月10日にかけて、県立高校と県立中等教育学校後期課程の部活動経験者とその保護者を対象に、無記名のオンラインで行った。生徒1万7,251人(回答率73.4%)と保護者1万3,554人(同57.7%)が答えた。
不適切な指導を受けたことがある生徒は259人(1.5%)、見たり聞いたりしたことがある生徒は391人(2.3%)だった。受けた指導の内容(複数回答)は「執拗な叱責」が45.6%で最も多く、「暴言」が41.7%、「無視・排除」が28.6%と続いた。受けた影響では「部活動に行きたくなくなった」が65.6%、「心が不安定になった」が42.1%、「強い不安や恐怖を感じた」が30.9%だった。
不適切な指導を受けた生徒のうち、誰かに相談したのは60.2%(156人)で、約4割は相談していなかった。相談した相手は家族(77.6%)や友人(76.9%)が多く、学校の先生は30.8%にとどまった。相談しなかった理由には「相談する必要を感じなかった」「相談しても改善につながらないと思った」「相談しづらかった」が多く挙がったという。

部活動指導に関する実態調査の結果の概要(新潟県教育委員会の資料より)
再発防止策では、基本方針を「指導者の考え方、学校のガバナンス、相談体制を刷新し、不適切な指導を根絶する」と定めた。「勝利至上」から「生徒の成長が最優先」へ、「指導者は絶対的な存在」から「生徒が主役」へと、指導者の考え方を改めるよう求めている。
具体的には、県教委の根絶宣言を受けて各学校も宣言を作り、学校のホームページに載せる。生徒・保護者向けと教職員・外部指導者向けのリーフレットや動画で、許されない指導の具体例や相談先を伝えるほか、指導者向けのオンデマンド研修や、自分の指導を振り返る自己点検も定期的に行う。
学校の体制も見直す。管理職が部活動の様子を定期的に把握し、副顧問が生徒と面談するなど、複数の顧問が実際に部活動に関わる体制をつくる。不適切な指導に気づいた教職員がためらわずに報告できる仕組みを整え、疑われる事案には県教委が速やかに学校を訪問する。生徒の所在が分からなくなったときに組織で対応できるよう、各校の危機管理マニュアルの見直しも求めた。
相談体制では、スクールカウンセラーを含むすべての教職員が「相談窓口」であると自覚して生徒の話を聞き、必要な支援につなげる。学校に直接相談しにくい生徒には、県教委のオンラインの相談窓口も案内する。
根絶宣言は、不適切な指導は「生徒の勝利や競技力の向上、技能の習得のためであっても、正当化されることはありません」とし、「私たちは、不適切な指導をしません」「不適切な指導を容認しません」「不適切な指導を見逃しません」の3つを掲げている。
悩みを抱えている子どもや保護者は、文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310、通話無料)で、夜間や休日も含めていつでも相談できる。
【関連リンク】
新潟県 第5号案件調査報告書の提言を受けた再発防止の取組について
厚生労働省 まもろうよ こころ(相談窓口の案内)