毎年1店舗をオープンし月岡温泉(新潟県新発田市)の温泉街に賑わいをもたらす合同会社ミライズ


日本酒の専門店「新潟地酒 蔵(KURA)」。好きな銘柄を600円で3杯試飲できる

県内屈指の人気を誇る月岡温泉(新発田市)は大正4年、石油を採掘している時に偶然温泉が出てきたことから湯治場として始まった。全国でも有数の硫黄含有量を誇り、美肌効果があるとされている。また、新潟駅、新潟空港から車で40分のほどの位置にあることから、「新潟の奥座敷」として年間100万人近い宿泊客が訪れる温泉地として繁栄した。

しかし、1990年代に入ると、バブルの崩壊、旅行ニーズの変化により全国各地の温泉外と同様に団体宿泊客が減少。また、館内に飲食店、みやげ店、バー、スナックなどをもつ大型旅館が宿泊客を館外に出さない抱え込みにより、温泉街では閉鎖店や空き店舗が増加。年間の宿泊客も約50万人まで減少したという。

こうしたなか、2014年4月に、空き店舗などを使って温泉街の賑わいづくりに取り組む合同会社ミライズが発足した。地元の旅館・ホテル8社が出資するとともに9人に若手経営者が役員に名を連ねている(役員一覧は記事の末尾に記載)。

ミライズ発足のきっかけは、開湯100年祭のイベントに向けて準備を進めていた未来委員会(月岡温泉館観光協会内)。この委員会のメンバーたちの「新発田市や観光協会の予算だけでは、まちづくりを継続して行っていくことができない」(ミライズ代表社員の穴澤恵子氏=白玉の湯泉慶若女将)との危機感から、会社を設立することになった。以来、地元・新発田市の街並み整備に関する助成金を活用しながら、1年間に1店舗のペースで、空き店舗などを活用して新規店舗を出店し続け、温泉街のにぎわい創出に貢献している。

ミライズ代表社員の穴澤恵子氏(白玉の湯泉慶若女将)

 

ミライズ以外の出店をもたらす効果も

第一弾の店は、2014年6月に、旧饅頭店だった空き店舗を活用して出店した日本酒の専門店「新潟地酒 蔵(KURA)」。好きな銘柄を600円で3杯試飲でき、試飲した後に気に入った銘柄を土産として購入することができる。ちなみに、この店が6店舗のうち一番の稼ぎ頭であるそうだ。

以降、旧土産屋だった空き店舗を活用して出店した発酵食品や海産物の専門店「新潟地物 旨(UMAMI)」、空き家を活用して出展した米菓専門店「新潟米菓 田(DEN)」、空き店舗を活用したワインとお茶の専門店「新潟飲物 香(KAORI)」、空き家を活用した米粉商品の専門店「新潟粉物 米(BEI)」、空き地を活用したスムージー&ジェラート専門店「新潟菜果 実(MINORI)」を出店。いずれも体験に重点を置いている。

今年も空地を活用し、新潟のショコラをテーマに、試食体験などもできる店舗を出店する。「ゴールデンウィーク頃のオープンを目指しています」(同)と話す。

一方、こうした取り組みは、昨年、先進的まちづくり大賞(国土交通大臣賞)を受賞し、全国各地からの注目も高まっていて、多くの視察団が訪れている。また、注目の高まりは、ミライズ以外の新規出店をもたらすという効果も生み出している。「昨年はバーがオープンしましたが、今年も、ビール関連の飲食店など2店舗オープンする見通しです」(ミライズ役員の1人)。

【合同会社ミライズ】
■代表社員
穴澤恵子(白玉の湯泉慶若女将)
■執行社員
飯田浩三(白玉の湯泉慶・華鳳 代表取締役社長)
飯田武志(白玉の湯泉慶・華鳳 常務取締役)
小竹英之(ホテルひさご荘 代表取締役社長)
樋口大介(ホテルニューあけぼの 代表取締役社長)
樋口秀人(東栄館 代表取締役社長)
樋口恵一(ホテル清風苑 代表取締役会長)
広川賢一(広瀬館 代表取締役社長)
齋藤泰弘(村上館 代表取締役社長)
※ほかに店舗スタッフとして正社員5名、パート4名を雇用(2020年1月下旬現在)

日本酒の専門店「新潟地酒 蔵(KURA)」の外観(写真左)。なお写真の右側の建物はスムージー&ジェラート専門店「新潟菜果 実(MINORI)」

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biz Link2020年2月10日号より転載