【再掲載】4年間無給でアリや雑草も食べた株式会社バイオポリ上越(新潟県上越市)の武田豊樹代表取締役社長、4年間で黒字達成


株式会社バイオポリ上越の武田豊樹代表取締役社長

元上越市副市長の大野孝氏が代表取締役社長を務め、2003年に設立したアグリフューチャー・じょうえつ株式会社(新潟県上越市)が経営破綻して、新会社の株式会社バイオポリ上越(新潟県上越市)が2011年に事業を引き継いだ。

東京の会社でバイオポリ上越の外部コンサルタントをしていた武田豊樹代表取締役社長はバイオポリ上越設立2年目に招聘され、東京から新潟県上越市に移住してきた。バイオポリ上越は会社設立以来、古米などからバイオマスプラスチックを製造し、上越市指定のごみ袋を年間200トン生産している。

 

年間6,000万円の赤字

当時は売上高が1億3,000万円で、6,000万円の赤字だった。古米から作るプラスチックで、上越市のごみ袋の受託があったほか、積み木などのおもちゃのプラスチック、土木資材の原料を作っていた。

武田代表取締役社長は「キャッシュを入れても入れても、流出が止まらなかった。会社を再建するには時間稼ぎのためのお金が必要だったが、そのお金も尽きてしまった。製造業であるのに電気を止められて、何も作れなくなった。そこで社員たちは初めて『社長が言うのは本当だったんだ』と分かってくれた」と回想する。

社員には当然ながら給料を払っていたが、武田代表取締役社長は経営者としての責任という面から、社長就任から黒字転換するまでの4年間は無収入だった。ここまでは創業間もないベンチャー企業の経営者などにはよくある話かもしれない。

だが、続けて、武田代表取締役社長は衝撃的なことを口にした。

「最後の2年間くらいは、地面のアリや雑草を食べていた。結婚はしていたが、家内とは別会計で、迷惑をかけないように貧乏生活は自分だけにしていた。また、カラスを追い払って、柿の取り合いをした。体はガリガリだった。アリは酸っぱくておいしいんだ」(武田代表取締役社長)。

現代の日本にあって何ということか、である。そこまで武田代表取締役社長を駆り立てたのは一体何なのか。その点について武田代表取締役社長はこう話す。「いまはバイオマスプラスチックは儲かると言っていろいろな会社が参入してきたが、当時は日本で約20社のバイオマスプラスチックの会社ができたものの、そのほとんどが倒産した。この技術を潰してはいけないという気持ちだった。絶対必要になる会社だと思っていた」。

まさに情熱である。現在、米のバイオマスプラスチックの技術を有する会社は、バイオポリ上越のほか、新潟県南魚沼市の企業、京都府の企業の3社のみとなっている。

バイオポリ上越は2017年に約900万円の最終利益が出て、黒字転換した。黒字転換してから武田代表取締役社長も役員報酬をもらうようになったという。社員数は当初30人いたが、自然減で20人までになった。黒字転換するまで、社員の賃下げは一切しなかったという。

 

製造管理を徹底し、黒字化

具体的な赤字体質解消法は、製造管理をしっかりすることだった。記録を付けていなかったり、製造方法(レシピ)の指示を勝手に変える人がいたりしたので改めた。また、不良品の山だったため、在庫のロス率を計算して不良品を減少させたほか、少ない人数でテキパキ動くことを徹底させたという。

武田代表取締役社長は「以前は不良品が出れば全部捨てて、また最初から作り直していた。原料がどんどん無駄になっていた。作りながら記録を付けるのは作業者にとっては負担が増えるのだが、自分でどれだけうまくやっているかが分からなくなる。不良率が上がってしまったら、作り方を変えてみようとかができる」と話す。

また、「ある知り合いの女性社長さんに『助けて下さい』と頼んだら、説明する前から、化粧ポーチにぎっしり封のついた500万円を入れてきてくれて、即貸してもらったことがある。運転資金に使い、これで年が越せたことがあった。銀行からの融資もあったが、追加融資はできない状況だった。潰れそうなときは何度もあった。ベンチャー企業で上場した社長さんに頼み込んで資金を貸してもらったりもした」と語った。

日本でも数少ないバイオ技術を持つバイオポリ上越は、東京から来た情熱家の経営者によってよみがえったのである。まさに武田代表取締役社長の執念である。

上越市にある同社工場

同社が受託している新潟県上越市の指定ごみ袋

(文・梅川康輝)


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