内田エネルギー科学振興財団が「各種助成金」の交付式。今年度は271件、8,300件の助成

交付式の様子

公益財団法人内田エネルギー科学振興財団(内田力理事長=株式会社コロナ代表取締役会長)は2日、コロナ本社大ホール(新潟県三条市)で、県の工業や産業振興に寄与する研究や地域活性化・再生、生活弱者支援などの事業に対して助成する「各種助成金」の交付式(令和2年度)を開催した。27回目となる今年度は、271件、8,300件の助成を行うことを決定。交付式は、助成を受ける団体・個人が参加し、午前(交付決定者約70人が参加)と午後(交付対決定者約80人が参加)の2回に分けて行なれ、内田理事長から助成金交付認定書が手渡された。

新潟県フードバンク連絡協議会は初めて助成が決定した。新型肺炎ウイルス(COVID-19)感染拡大の影響で、ひとり親過程など経済的に困窮している家庭にフードバンク活動を通じて食糧支援をするとともに、頼り先が少ない家庭が孤立することのリスク低減を図るべく活動している(※助成交付が決まった団体などの一部を記事末尾に記載しています)。

内田理事長は、交付式の挨拶の中で、「新型肺炎ウイルスに感染された方々のご快癒とともに、無念ながら天上に召されました尊い御霊・御仏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。一方、新潟県内は記録的な暖冬と少雪となり、ここ三条市をはじめ新潟県内の多くの地域では無雪の冬を過ごしました。県内のスキー場や除雪を担う建設業、冬物商品に関連する企業などには、経済的な影響が出ております。今後、いかにしてこれらの課題を乗り越えて、私達の生活を守り、発展させるかが重要であると考えます。今こそ、新潟県の皆様のお知恵と行動力、そして当財団の助成で、新潟県の課題解決に微力ながら貢献していきたいと願っています」などと述べていた。

助成金交付認定書を手渡す内田力理事長

 

延べ3,157件(累計助成額13億243万円)の助成金を交付

資料によると、同財団は新潟県の経済・産業の振興と福祉の増進に寄与することを目的に、以下の助成事業を展開している。

・エネルギー資源及び自然・地球環境の保護並びに災害防止等に関する科学技術の試験研究を行う者に対する助成
・エネルギー資源及び自然・地球環境の保護並びに災害防止等に関する科学技術の試験研究を行う機関の設置・施設の整備等に対する助成
・エネルギー資源及び自然・地球環境の保護並びに災害防止等に関する科学技術に関する知識を普及するための講演会、公開講座等の開催に対する助成
・地域活性化活動、地域再生活動に対する助成
・生活弱者の自立に向けた活動に対する助成

この財団設立の提唱者は(株)コロナの創業者の内田鐡衛氏。内田氏は昭和6年、主力のエネルギーが炭や薪、石炭の時代に最先端のエネルギーだった石油エネルギーの優位性にいち早く着目し、安全、高効率で操作性良好な石油コンロの研究に着手した。昭和8年、第1号の特許を取得し、昭和12年(株)コロナの前進である内田製作所を創設し、石油コンロメーカーとしての道を歩み始めた。

その後、昭和30年に日本最初の石油ストーブの開発に成功、日本の家庭における暖房方式を一変させ、国内の文化生活の向上に貢献した。以降も石油のみならず、電気・ガス・太陽熱等各種のエネルギーに対しても有効利用に積極的な取り組みを続けてきた。

その間、昭和35年に紫綬褒章を、昭和49年には、日本の発明と業界振興につくした功績により勲三等瑞宝章を受章。内田氏のエネルギー資源に関する研究の意志を将来にわたって継承し、新潟県におけるエネルギー資源に関する科学技術を向上させるため、財団法人内田エネルギー科学振興財団を設立することとなったという。

平成6年に財団法人として設立され、平成23年4月に公益財団法人に移行。これを機に、これまでの対象事業に加え、地域活性化・再生事業、生活弱者支援事業に助成範囲を拡大した。

 

交付決定事業の概要(にいがた経済新聞編集部が資料から一部抜粋)

以下は交付が決定した事業。

・昆虫搭載型バイオ燃料電池を用いた自律駆動型無線ロボットの開発(機械系分野)
・古代魚ポリプテルス胚を用いたゲノム編集による遺伝子機能解析(生物系分野)
・負に帯電したナノミスト環境における自律神経・脳波統合解析(情報系分野)
・施設栽培における地域資源利用による温・湿度環境制御システムの開発(環境科学系分野)
・植物発電のための基礎研究(電気系分野)
・AI・IoTによるトマトの生育条件評価実験(生物系分野)
・圧力を活用した低コストで省エネルギーなミミズサプリメント生産法の開発(生物系分野)
・魚類のマイクロプラスチック汚染に及ぼす生息環境の影響(環境科学系分野)
・佐渡島の河川に生息する希少な魚類の生態と生息環境の解明(生物系分野)
・幻の佐渡固有種「サドサンショウウオ」の分布調査と生息隔離機構の解明(生物系分野)
・長岡工業高等専門学校 出前授業・体験授業(出前授業・体験授業)
・上越市少年少女発明クラブ クラブ活動(公開講座)
・青少年のための科学の祭典2020新潟県大会(科学知識普及のためのイベント)
・食品ロス削減に取組む「賞味期限は捨てる日ですか?」(クッキング講座)
・妙高サイエンス塾(公開講座)
・ユーチューブとグーグルマップを活用した地域商店の紹介による地域活性化(地域活性化・再生事業)
・大学生の野菜と柿の栽培による農業体験と地域活性化へのチャレンジ(地域活性化・再生事業)
・地域の子どもは、地域で守る‼つばさんマスク配布大作戦(地域活性化・再生事業)
・10周年感謝への集いへの南相馬の方の招請費用(地域活性化・再生事業)
・愛宕山ユキツバキ群生地の整備事業(地域活性化・再生事業)
・第38回 ふるさと絵画コンクール事業(地域活性化・再生事業)
・ふるさと三条太鼓の世界公演活動(地域活性化・再生事業)
・第6回 全国連合子ども観光大使大会in新潟Zoom開催(地域活性化・再生事業)
・社会起業家・社会起業家希望者が集まるシェアハウスの立ち上げ(地域活性化・再生事業)
・ようこそバリアフリーな新潟へ 実地調査とHP制作(生活弱者支援事業)
・不登校生徒及び保護者の本音を語る本の出版(生活弱者支援事業)
・産前産後の母子を救うドキュメンタリー映画プロジェクト(生活弱者支援事業)

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